事故起こした機長の名前、経歴の詳細も未だ公表せず 専門家も「アシアナ航空、まったく誠意がない」と批判

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   韓国・アシアナ航空機が広島空港で着陸に失敗し、乗客25人が負傷した事故から1か月近くが経った。しかし、未だに機長の名前すら明らかにされず、ネット上で疑問や批判が相次いでいる。

   広島空港では、2015年4月14日夜の事故から1か月も経たないのに、アシアナ航空のソウル便が30日に運航を再開した。利用客の多いGWに合わせたかのような早さだ。

  • 過失か危険操作か(写真はイメージ)
    過失か危険操作か(写真はイメージ)
  • 過失か危険操作か(写真はイメージ)

事故から4日後には全員が韓国に帰国

   その一方で、パイロットの操縦に問題があった可能性があるにもかかわらず、機長らの会見も開かれないままだ。国交省の運輸安全委では、機長ら乗組員8人に聴取したと報じられたが、事故から4日後には全員が帰国してしまった。その証言もほとんど報じられていない。

   また、機長らの名前や経歴の詳細もほとんど明らかにされておらず、多くのことがナゾに包まれている。

   こうした状況に、ネット上では、いら立つ声も次々に上がっている。「再開は早すぎる」「原因究明が先じゃね」といった疑問や批判も多い。

   元日本航空機長で航空評論家の杉江弘さんも、「アシアナ航空は、まったく誠意がないですね」とその対応に懐疑的だ。

「日本なら、機長らが会見に引っ張り出されますし、事情聴取の内容についても明らかにされるはずです。アシアナ側は、日本の運輸安全委が調査に1年ぐらい時間をかけることを知っていて、何も言わないで機長らを本国に帰してしまったということだと思います。アシアナ側は、分かっている範囲で事故について話すべきだし、たとえ、機長らの名前を言わないとしても、そのコメントぐらいは明らかにすべきだったでしょうね」

   5月5日になって、運輸安全委の関係者の話として、事故機のパイロットが濃霧で見通しが悪くなったため着陸のやり直し(ゴーアラウンド)をしたと報じられた。

「運航規程に反した危険操作と言えるかもしれません」

   しかし、杉江さんは、そうだとしても、パイロットの操縦に問題があった可能性はなくならないと指摘する。

「地上120メートルまで降下して、滑走路が見えない状態で着陸を強行してはダメです。さらに高度を下げれば見えてくると思い込んだ可能性があり、地面が迫ってきてゴーアラウンドしても手遅れですよ。推力が加わるのに5、6秒はかかるからで、パイロットはとても弁解はできませんね。ヒューマンエラー(単なる過失)ではなく、運航規程に反した危険操作と言えるかもしれません」

   非常に古いタイプの事故で、パイロットの安全教育不徹底と訓練不足があった恐れがあるという。

   とはいえ、アシアナ航空側は、今回の事故について、ヒューマンエラーとして済ませたい思惑があるのではないかと杉江さんはみる。広島空港でソウル便を再開したのも、死者が出るなどの重大な事故ではなかったと考えたためではという。

   韓国も、2年前に米サンフランシスコで起きたアシアナ機の事故のように、該当路線を45日間の運航停止にするといった軽い処分で終わらせる可能性があるとしている。

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