「働く女性」を中心に「忙しい現代人」に新たなサービスを提供するベンチャー企業が増えている。幼稚園や保育園などに通う子供の写真や動画を保護者家族のスマホなどに配信したり、「働くママ」向けの半調理献立キット、ネットで予約すると自宅まで洗濯物を集配してくれる24時間対応の宅配クリーニングサービスなどが登場している。
共働き夫婦などに人気という。いずれも多忙な現代人向けの新サービスで、ベンチャー企業ならではのアイデアに富んでいる。
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多忙な人向けの新サービスは今後も続々と誕生しそう（画像はイメージ）
先生が子供を撮影し保護者に送る
子供の写真や動画を保護者家族のスマホなどに配信する業界初のサービスを2015年4月に始めたのがウェルスタイル（本社・東京都渋谷区）。2012年に日本で初めて開設した家族専用の無料SNS「wellnote（ウェルノート）」で知られる。これは、都会に住む若い夫婦が子供の動画や写真を遠方に住む祖父母などと共有できる無料アプリで、家族限定で写真やメッセージを共有できる安心感が人気を呼び、2015年1月からauのシニア向け・ジュニア向けスマホにアプリがプリセットされるなど、急速に普及している。大手メディアでも朝日、毎日、読売の全国紙やNHKなどに取り上げられた。
そしてこの4月から本格的に始めた新サービスは、幼稚園や保育園、学童などで過ごす子供の様子を先生らがスマホで撮影し、保護者家族に届ける「wellnoteスクール」だ。その日の子供の様子を教室などで先生らが撮影し、保護者らに瞬時に送るアプリの開発は業界で初めてという。
同社の谷生芳彦社長は「子供を預けて働くママに安心感を提供するサービスだ。保護者の家族だけが見られるクローズドな家族SNSなので、他のSNSに比べてプライバシーの保護も万全だ」と語る。「wellnoteスクール」は、「学研キャンパス」など学研グループの学童保育をはじめ、保育園、幼児教室、学習塾などで導入されているという。
店舗のない宅配クリーニング
インターネットで有機栽培野菜や添加物を使わない加工食品などの注文を受ける「オイシックス」（東京都品川区、高島宏平社長）は、新サービスとして半調理献立キット「Kit Oisix（きっと おいしっくす）」を開発した。日々の食生活で「働く女性」をターゲットにしたもので、2013年7月の販売開始。「冷凍食品でも惣菜でもなく、忙しい女性の時短となる画期的な商品」（同社）というコンセプトが受け、静かな人気を呼んでいる。宅配された食材を使い、5月なら「こどもの日」に合わせた「鯉のぼり寿司」などを簡単に楽しめるという。
ネットで予約すると自宅まで洗濯物を集配してくれる24時間対応の宅配クリーニングサービス「リネット」が展開するのが、ホワイトプラス（東京都渋谷区）。「共働きでクリーニング店に行く時間がない」「小さい子供がいるので重たい衣類を持って外出するのは難しい」といったニーズに対応し、インターネットで予約すると最短2時間後に自宅まで洗濯物を取りに来て、最短2日後に届けてくれるネット専業のクリーニングサービスだ。井下孝之社長は「インターネットを通じて世の中を便利にしたい。共働きが増え、家事の時間を減らしたいというニーズは高まっている」と話す。
同社はユーザーとクリーニング工場を直接結び、店舗機能を工場内に移すことで店舗運営コストをカットしているという。店舗を持たないネット専業の宅配クリーニングの先駆けとして、白洋舎など大手の宅配サービスよりも安価な料金や利便性を売りにしている。ネットで24時間受け付けるほか、洗濯物を専用バックに入れコンビニから出すこともできるなど、ネットとリアルの融合に取り組んでいる。2009年創業のベンチャー企業だが、すでに全国で12万人のユーザーを集めている。
多忙な現代人向けにネットを活用した新サービスは今後も続々と誕生しそうだ。