採算ラインにギリギリの受注
しかし、初飛行計画が4回目の延期となることは事実であり、影響をあまり過小評価しない方が良さそうだ。
まずは受注拡大へのダメージだ。従来は初飛行のタイミングは今年4~6月と公表され、一部では「5月29日が有力」とされてきた。なぜ5月末かと言うと、6月にパリで開かれる世界最大の国際航空ショー「パリ航空ショー」に間に合わせるためだ。パリ航空ショーは西暦の奇数年、英国南部の「ファンボロー航空ショー」は偶数年に開かれ、ともに航空産業の見本市でもあり、大型商談の場でもある。
MRJの初飛行が予定通りに実現すれば、飛行時の映像などを最大のアピール材料として売り込める場となるはずだった。「今までは実機がないままの商談だったが、実機が飛んでいれば商談の弾みになる」(三菱航空機幹部)からだ。しかし、一転して初飛行延期という逆風の中での受注活動を迫られることになり、受注獲得への影響は避けられそうもない。
また、スケジュールを見直したことでリスクがなくなったわけではない。初飛行後の改修を減らしたいとはいえ、それは現時点で言える見通しにすぎない。他のメーカーがそうであるように飛行試験を行う中で大きな不具合が発生し、開発スケジュールを再度見直さなければならなくなるかもしれない。岸副社長も「予想しない事象が起こりうる」と認める。
MRJは国内外の航空6社から、キャンセル可能な仮発注を含めて計407機を受注したが、採算ラインとされる400~500機にギリギリ到達したレベル。客を乗せて飛行した実績のないMRJに再度、納期遅れが発生すれば、受注に向けた影響は計り知れない。これから、いよいよ厳しいスケジュール管理が求められそうだ。