老人の5人に1人が認知症になっている! そんな10年後に備え「国家戦略」が決まった

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   認知症の人への支援を強化する政府の初の「国家戦略」が決まった。「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年までを対象期間にしており、認知症の人や家族の視点をこれまで以上に重視し、若年性認知症への支援も強めることなどを柱に、関係省庁が連携して対策に取り組むという。

   ただ、今後の大枠の方針を示したもので、遅れている家族への支援策など、現場の実態に合った実効性ある施策を具体的にどう打ち出していくか、注視していく必要がある。

  • 現実は一筋縄ではいかない
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サポーターを増やす

   厚生労働省の研究班の推計によると、全国の認知症の人の数は、2025年に最大で約730万人、65歳以上の5人に1人に達する。2012年時点では約462万人(65歳以上の7人に1人=厚労省の別の推計)だから、13年間で約1.5倍に増加することになる。

   こうした深刻な見通しを受けて2015年1月末に決定されたのが今回の国家戦略で、正式名称は「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」。厚労省は2013年度に「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」をスタートさせたが、医療・介護が中心で、介護が不要な認知症初期段階の人の支援や、暮らし全般のサポートが乏しいことが指摘されていたことから、新プランとして策定し直した。

   国家戦略はまず、基本的考え方として「認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」を掲げた。そのうえで、(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発、(2)容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供、(3)若年性認知症施策の強化、(4)介護者への支援、(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくり、(6)予防法、治療法など研究開発およびその成果の普及、(7)認知症の人や家族の視点の重視――を「七つの柱」として示し、初期段階の認知症の人、家族から生活上必要となることを十分に聞き、施策に生かすことも打ち出した。

   具体的な施策として、まず認知症への社会の理解を深めるとして、認知症サポーターの養成に力を入れ、「オレンジプラン」で掲げていた養成目標数(2017年度末)を600万人から800万人に引き上げた。

   医療・介護では、診療体制を整えるため、2017年度までに認知症の早期診断に必要な研修をかかりつけ医約6万人が受講する計画を提示。歯科医や薬剤師など幅広い医療従事者にも症状に気付くための研修を実施。医療・介護の専門職らが訪問支援する「認知症初期集中支援チーム」(2014年度は41市町村で実施)は、2018年度から全市町村での実施を目指すとした。

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