J・フロント、千趣会の筆頭株主に 通販事業を強化、相乗効果狙う

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   大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングがカタログ通販大手、千趣会と資本業務提携した。

   J・フロントは、第三者割当増資や既存株主からの買い取りにより、千趣会株式の22.6%を100億円で取得し、筆頭株主となる。カタログ通販のノウハウを取り込んで、弱みだったEC(電子商取引)事業を強化する。

  • どんな相乗効果を生むことができるのか
    どんな相乗効果を生むことができるのか
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「ベルメゾン」を運営

   最近の百貨店の業績は、外国人観光客や富裕層に支えられ、軒並み堅調に推移している。主要百貨店の一角を占めるJ・フロントも、2015年2月期の連結売上高は、前期比0.3%増1兆1495億円、営業利益は0.7%増の420億円とまずまず。2014年4月の消費税率アップに伴う駆け込み需要と反動減という乱気流を経ての前期水準維持は、「上出来」といえるかもしれない。

   J・フロントは、雑貨店「プラザ」や商業ビル「パルコ」など、ブランド力がある専門店のグループ化を通じて、業績を押し上げてきた。ただEC事業の売上高は、156億円と全体の1.3%を占めるにとどまる。

   巻き返しを図るため、パートナーに選んだのが、通販「ベルメゾン」を運営し、30~50歳女性を中心に1500万人の顧客基盤がある千趣会だ。千趣会はネットを通じた購入が7割を超える。J・フロントは、プライベートブランド(PB)商品の共同開発や、千趣会のネット通販のノウハウを吸収することで、2017年2月期にはEC事業の売り上げを現在の6割増の250億円にする目標を掲げる。

   J・フロントの山本良一社長は提携発表した2015年4月17日の記者会見で「お互いの強みや課題を補い合える」と強調。千趣会の田辺道夫社長は「実際に(顧客と)接点を持つ店舗が必要だと考えていた」と説明した。

ディノスやセシール、ニッセンは再編ずみ

   カタログ通販業界は再編が進んでいる。2013年7月にはフジ・メディア・ホールディングス系のディノスとセシールが合併。2014年1月にはセブン&アイ・ホールディングスがニッセンホールディングスを買収した。

   背景には楽天やアマゾンなど、ネット専業通販の急速な台頭がある。これらネット専業通販は、品ぞろえや価格、配送スピードなどを圧倒的な強みとする。カタログ系が単独で生き残れる保証はなく、まずは他社と手を組んで相乗効果を狙う作戦に出た。

   ただ、M&Aの成功例は、まだこれといってないのが実情だ。ニッセンの2014年12月期の最終損益は85億円の赤字だった。セブン&アイ傘下でどう相乗効果を発揮していくのかを探っている最中といえる。

   一方、千趣会の2014年12月期の連結売上高は前期比0.7%増の1425億円とほぼ横ばい。当期純利益は55.6%減の約18億円と苦戦している。

   J・フロントと千趣会は、それぞれ経営環境は厳しい。ただこのまま何もせず、放置すれば、持続的な成長は望めないのも事実だ。両社がどんな相乗効果を生むことができるのか、注目を集める。

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