すしチェーン「すしざんまい」を展開する喜代村の木村清社長は2015年4月29日、東京・築地の本社で記者会見を開き、築地から豊洲に移転する新市場に建設予定だった大型集客施設「千客万来」の整備を断念した理由について説明した。
千客万来は、約140店舗が集結する場外市場や、首都圏最大級の温浴棟などを併設した観光施設として計画され、年間約420万人の来場者を見込んでいた。だが、ともに事業を担当する予定だった大和ハウス工業が2月に撤退。喜代村は単独で整備を進めるとしていたが、4月28日、都に辞退を申し出た。
報道によると、木村社長は近隣にある温浴施設「大江戸温泉物語」との競合を理由に挙げた。同施設の運営会社が都と結んでいる定期借地権契約が16年3月で切れると聞いていたが、事前説明なく延長されたという。また、大和ハウスが整備する予定だった場所の優先開発権も認められなかったといい、
「本当に苦肉の判断。決して自分の私利私欲でやってることじゃないんです。東京都、日本がよくなるためのことで頑張らせていただけたら、自分の本望だと思って頑張ってまいりました。だけれども今回のような事態になってしまって...」
などと涙ながらに語った。
都では事業予定者の再公募に向けた取り組みを速やかに実施するとしている。