円安の進展よりも輸入関税の影響が・・・
日本の観光庁によると、2014年に日本を訪れた外国人旅行客の消費額は2兆2780億円で、このうち中国人観光客による消費額は5583億円だった。中国人観光客にとって品質や性能のよい日本の家電製品や日用品は根強い人気で、2015年2月の春節時には電気炊飯器や洗浄便座のほか、ヘアドライヤーやスチーム美顔器に電気カミソリ、また14年秋から新たに免税の対象となった化粧品などが売れに売れた。
電通の調査でも、商品カテゴリー別の購入率トップ3は「食料品・飲料」「ヘルスケア・化粧品」「衣服」だった。
わざわざ日本に来てまで「爆買い」していく理由には、「商品・サービスの質が高い」「自国よりも商品が安く購入できる」「ホンモノ(偽物ではない)の商品を購入できる」というイメージが訪日観光客の中に増加しているという。
「ホンモノを、安く買える」背景には、アベノミクスによる円安がある。たとえば、中国・人民元をみると、春節にあたる2013年2月(月間平均レート)には1元14.82円だったが、14年2月に1元16.71円、15年2月には1元19.32円と円安が進んだ。
これだけでも、国内で品質の落ちる中国製を買うより、日本に旅行するついでに買い物するほうが断然オトクだが、さらに「中国はもともと輸入関税が高いですから、為替よりもその影響のほうが大きいですよ」と、新興国経済に詳しい第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、西濱徹氏は指摘する。
中国では、輸入関税に加えて増値税(物品の輸入にかかる税金、税率17%)などがかかるので、「高級品ほど高くなりがちです」と話す。商品によっては、40~50%にものぼることがあるようだ。