お笑いコンビ「ジャルジャル」の後藤淳平さん(31)の父親、後藤圭二さん(57)が大阪府吹田市の市長に当選した。
35年間の市役所勤め、定年まで3年半という時に出馬を決めた。息子淳平さんの応援演説や事務所での手伝いなどは一切なかったそうだが、全くの無名だった市役所職員が当選できたのは、今や売れっ子芸人になった淳平さんと同じように、「おもろい」ことが一因のようだ。
「我が家では『おもろい』が大事」
2015年4月26日に投開票された吹田市の市長選挙は、自民党や公明党が推薦した無所属の圭二さんが勝利した。この日、選挙事務所内で記者会見した圭二さんは、
「僅差であり、謙虚な気持ちで市政に臨みたい」
と淡々と語った。
実は圭二さん、かなり「おもろい」人のようなのだ。市役所関係者に話を聞くと、「とにかく明るいし、そして元気」なのだという。吹田市片山町で生まれ育った。中高ではテニス、グリークラブに所属し、東京水産大学(現 東京海洋大学)時代は沖縄の海に潜りサンゴ礁魚類の生態を追った。スキーも得意で吹田市スキー連盟の副理事長を務めるなどスポーツ万能だ。
ギャグの才能もあるようで、市長選の出馬表明時には息子の淳平さんを意識したのか「我が家では『おもろい』が大事」などとアピールし、一番「おもろい」のが娘だとしたあとで、自分に関しては、
「飼っているネコのほうが上と言われます」
と記者を笑わせた。選挙のプロフィールを見ると、趣味の欄には、
「お腹の上で寝る猫」
などと書いている。家庭でのモットーは、
「出産授乳以外で私に出来ない家事はない... はず」
とボケをかましたりもしている。
ただ、圭二さんを良く知る人物に話を聞いてみると、この「おもろさ」はほんの一面にしか過ぎない。話術が巧みなため、淳平さんの話が振られると先の記者会見のようにボケたりするが、自分から淳平さんの話をすることは一切ない。自分は自分、息子は息子と完全に分けていて、今回の選挙でも応援や手伝いは一切頼まなかったし、淳平さんもしなかった。
35年間の役所勤めの集大成「市政を極める」
「喜怒哀楽を表に出さないし、ここ20年~30年はイライラしたり怒ったりしたことは一度もないと言っています。一方で、周りへの配慮があり、不快感を最大限与えないように対応している」
そして、自分の生き方や思いをとことん追及するタイプ。スポーツなどでもその道を極めないと納得できない。趣味のテニスに関してもインストラクターの免許を取ったほどだ。
今回の市長選も「市政を極めたい」という流れの中にあった。35年間市役所に務め、環境政策室長、都市整備部室長、道路公園部長などを歴任してきた。功績の一つに「すいたシニア環境大学」の設立があり、エコな環境づくりのためにシニア層に講師になってもらい、それを元にNPO法人による実践が行われている。「すいたシニア環境大学」は環境省モデル事業に採択されている。
市で35年間働き積み上げた経験をもとに、最後に仕上げとして市長になり実践したいということらしい。政治家になろうなどという思いはなかったそうだ。
(2015年4月28日11時30分、追記)記事本文中に誤りがありましたので訂正いたしました。