「iPS創薬」の動き、日本でも本格化 武田薬品と京大が連携、200億円プロジェクト

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日本の出遅れに危機感

   欧米では製薬大手や大学などの研究機関が連携してiPS創薬を目指す動きここ数年、活発化している。米ハーバード幹細胞研究所と英製薬大手グラクソ・スミスクラインやスイス製薬大手ノバルティスとの連携が代表例だ。欧米各国の複数の製薬大手と研究機関が幅広く参加した国際的な創薬プロジェクトも進んでおり、山中氏などの優れた研究者を出しながら、日本だけが取り残されている状況だ。

   そもそも新薬開発には数百~1000億円もの巨額な開発費と10年を超える長い歳月が必要とされる。最も大きな負担は安全性などを確認するための臨床試験だ。もしiPS細胞を使えば臨床試験を行う前に安全性や効果を確認することが可能で、新薬が完成するまでの費用や日数は大幅に圧縮できる。世界の製薬業界で豊富な経験をもつクリストフ・ウェバー氏が2014年6月に武田の社長に就いて、iPS創薬の世界の実態や日本の出遅れに危機感を抱き、今回の提携が実現したとの見方が強い。

   一方、約半月前の3月末、富士フイルムホールディングス(HD)が、iPS細胞を開発・製造する米国のセルラー・ダイナミクス・インターナショナルを約3億700万ドル(約370億円)で買収すると発表した。セルラー社はiPS細胞を大量に安定して生産する技術に強みを持ち、世界の製薬会社に創薬用として提供していることで知られる。

   出遅れは否めないものの、武田と同研究所の提携が他の製薬会社を刺激する可能性も大きく、日本でもようやくiPS創薬の取り組みが本格化しそうだ。

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