時計の針が逆戻り?
法施行を受けて、企業は今、温室効果が低い代替フロンか、自然冷媒かの選択を迫られている。代替フロンの開発では、ハイドロフルオロオレフィンという新物質があり、HFCの一種だが、温室効果は自然冷媒と変わらない。ただ、可燃性で、燃えると有害ガスが発生するほか、環境中に放出された際の影響についても分からない部分があり、将来のリスクを指摘する向きもある。
自然冷媒は炭化水素、CO2、アンモニア、水、空気が代表例。産業用の冷凍装置などは、かつてはアンモニアが使われたが、扱いが難しいためフロン類に切り替わった歴史がある。この歯車を逆回転させる形になる。ただ、CO2を使った冷媒は、気温が高いと性能が落ち、アンモニア冷媒は毒性があるため居住空間には不向きなど、デメリットも目立つ。ノンフロン冷媒は、温室効果が低くなるほど燃えやすい特徴があるため、物質や機器の規模に応じ、都道府県への届け出や許可が義務付けられるという問題もある。自然冷媒を使った機器は、概してフロン類使用機器に比べて価格が1.5~2倍と高いのも大きな障害になる。
それでも、導入を進めるローソンは、2010年からCO2冷媒システムを入れ、現在は全店舗1万2000店の5%(約600店舗)に導入済みで、2015年度中には倍増させる計画という。現状は割高でも、将来的に代替フロンへの規制がさらに強化されれば、二重投資になる恐れがあるからとされる。
それぞれの企業の判断が問われることになるが、現状は「法改正の認知度は低く、自社が対象だと知らない企業もある」と関係筋は指摘する。法改正の周知を図るとともに、新技術開発など、国の本腰を入れた取り組みが必要と言えそうだ。