中国、台湾、香港といった中華圏からの観光客の食事のお目当ては、ラーメンなのだそうだ。食事時や飲酒をした後のシメに行ってみると、店の行列の半数以上が中華圏から来た観光客だったりすることも。
ラーメンの中でも特に豚骨系の人気が高いようで、福岡発祥の「一蘭(いちらん)」道頓堀店には昨2014年だけで中華圏の観光客を中心に約40万人の外国人が来店した。増え始めたのは3年くらい前からのようだが、どうしてこんなに日本のラーメンが注目を集めているのだろうか。
日本食といえばスシやテンプラではなくラーメン!
2015年4月23日の昼に東京新宿にある「一蘭」に行ってみると11時50分時点で20人ほどの行列ができていた。スーツを着たサラリーマンやOL、小学生くらいの男の子と幅広い客層だったが、行列は少し騒がしかった。というのも、中国語で大きな声を出して会話をしている人が多数いたからだ。20人の行列のうち半数以上が中国語を使っていた。
順番が来てテーブルに案内されると10分も経たないうちにラーメンが出てきた。後から来て左側に座った30代後半くらいの女性は中国語と英語を混ぜて話していた。右肩にはパンパンに詰まったショルダーバックを掛けていて、興奮しているせいか立ったり座ったりを繰り返した。その度にショルダーバッグがこちらに当たることになり、体が揺れてしまって上手く食べられない状態になった。女性は男女の仲間数人と来店しているようで、席の離れた相手と大きな声で会話をしていた。一人の男性は、他の店で買ったものなのだろう、ペットボトル入りのお茶を手に持ち仲間の側に行って、お茶を飲みながら満面の笑みで談笑を始めた。やがて店内ではスマホを使い食べているシーンの撮影会のようなものが始まった。ちょっとしたパーティーを見るようなものだった。店を出ると行列は30人に増えていた。その行列の中には中華圏から来たと思われる若いオシャレなカップルもいて、女性は眼を輝かせながら、早く順番が来ないかとソワソワしていた。
中華圏の人々にとって日本食といえばかつては寿司や天ぷらだったようだが、ここに来てラーメンを目当てに観光に訪れる人が急増し、人気ラーメン店で食事をすることがステータスのようになっている。ラーメンは中国発祥というのが一般的な理解のはずだが、日本独特の食べ物という認識が定着しているのだという。実は、このラーメンブームのきっかけされている一つがこの「一蘭」なのだ。