日韓国交正常化50周年の記念切手が2015年6月22日に発売される予定だが、そのデザインなどを巡ってネット上で異論が出ている。
82円の記念切手は、2種類のデザインが用意されている。1つは、右側に着物の女性、左側に韓服の女性を縦長にあしらったものだが、主に論議になっているのは、もう1つの方だ。
「この切手だけは許せません」
切手の上半分に韓国の国花「ムクゲ」、下半分に日本の国花「サクラ」が縦長にあしらわれている。
日本郵便のサイトでも、そのデザインが紹介されているが、ネット上では、それに反対する声も一部で上がった。
切手収集家の工業デザイナー椙山哲太郎さんは、4月23日のブログ記事で、「せっかくのところ申し訳ないけれど、この切手だけは許せません」と反対表明した。万国郵便連合では、切手のデザインは国家関係で対等に扱うことが原則とされているとし、「それなのにさくらの上にムクゲを描くとは一体どういうことですか」と不満をぶつけた。この切手は、国辱的なデザインだとも言っている。
在米ジャーナリストの岩田太郎さんは、ネットメディア「Japan In-depth」への寄稿記事で、このブログを取り上げ、その見方を詳しく紹介した。一方で、「別の解釈も可能なことに気付いた」として、逆にサクラがムクゲを支えており、日本の優越性を主張しているように読めなくもないと指摘した。これに対し、岩田さんは、「そのような些末なことで騒ぐのは得策ではない。こだわれば、日本の民度を下げてしまう。冷静を保つのが一番だ」と書いている。
これらの記事を受けて、ネット上では、様々な意見が出ている。
日本郵便「コメントを控えさせていただく」
「なんで桜が下に描かれているのだ。看過できない」「こんな切手で出すと客先に怒られそう」などとデザインに不満を持つ向きが一部である。しかし、「別に気にならんな」「どうでもいいw」といった冷ややかな声は多かった。
さらに、最近は竹島問題などで日韓関係が悪化していることから、「そもそも、こんな記念切手を出す必要が無いだろ」「友好国ですらないんだからほっとけ」との書き込みも相次いだ。どんな図案にしても、韓国は難癖を付けてくるはずだからムダだ、といった指摘も出ていた。
日本郵便の広報室長は、取材に対し、「ネット上で様々な意見が出ていることは存じ上げています」としたうえで、「私どもとしては、コメントを控えさせていただきます」と答えた。記念切手デザインの意図についても、コメントを控えるとした。今のところ、2種で計700万枚を発売する予定は変わっていないという。
記念切手については、日韓国交正常化20周年でムクゲだけのデザインを、30周年で李朝の函文帯地(はこもんおびじ)のデザインを出している。このときはともに、韓国も別のデザインの記念切手を日本と同時発行している。
今回について聞くと、「韓国が記念切手を出すという話は聞いていません」という。その理由については、韓国のことなので分からないということだった。