京都府警などの5府県警による合同捜査本部は、動画投稿サイト「FC2」の実質的な運営会社とみられる「ホームページシステム」への家宅捜索でパソコンを押収した。この中にはFC2会員2600万人の情報が含まれているとみられる。
著作権法に抵触する動画など違法アップロードした投稿者の存在が明らかになれば、一斉摘発が行われる可能性はある。
サイト内に違法動画が蔓延
今回の家宅捜索は、ホームページシステム社長の足立真容疑者(39)と元社長でFC2創業者の弟とされている高橋人文容疑者(38)の公然わいせつ容疑での逮捕にともない行われた。2人には、女性との性行為を撮影し有料動画を配信していた自称ネット配信業の男(懲役3年執行猶予4年が確定)と共謀し、動画を不特定多数が閲覧できる状態にしていた疑いがある。
同社は14年9月にも家宅捜索を受けていたが、今回は同社のパソコン100台以上が押収された。パソコンやサーバーなどには、有料、無料会員合わせて約2600万人の会員情報が含まれていたとみられる。
FC2にはわいせつな動画のほかテレビ番組や映画、アニメなどが多数投稿されている。同サイトには有料動画があり、投稿者にはユーザーが視聴する際に購入したポイントの金額の一部が配当される仕組みがある。そのため同サイトには違法動画が蔓延、ネット上の違法アップロードの温床の1つとされてきた。
実際に違法アップロードで逮捕された投稿者もいる。14年9月にはテレビドラマの動画を約2年間で2000本近く無断投稿したとして、静岡県の男が著作権法違反の疑いで逮捕された。また13年6月にはわいせつ動画を投稿したとして愛知県の男性がわいせつ電磁的記録媒体陳列容疑で逮捕された。
同社がどんな会員情報を管理していたかは分からない。しかし今回、捜査関係者が会員情報を解析し、違法投稿者が明らかになれば一斉摘発されてもおかしくない。
視聴しただけの会員にも不安広がる
また今回の報道を受け、違法動画などを視聴した経験があるユーザーらからは自身も何らかの罪に問われるのではないか、と不安にかられている。会員2600万人のほとんどが日本人とされているだけに、身に覚えがある人は少なくないのかもしれない。
違法動画の視聴自体は違法行為にはあたらない。文化庁の公式サイトにも「違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは(中略)違法ではなく、刑罰の対象とはなりません」と明記されている。
ただし動画を見るだけではなく、ダウンロードをした場合は著作権法に違反する可能性がある。2012年の著作権法改正により、違法にアップロードされた音楽や映像だと分かっていながら、ダウンロードした場合も2年以下の懲役または200万円以下の罰金あるいはその両方が科せられることになった。なお刑事罰の規定は著作権者からの告訴が必要な親告罪だ。