レンタルビデオチェーン「GEO」の千葉県内の店舗のアルバイト店員が、Pontaカードの番号でレンタル会員検索をして、客の個人情報を私的に使おうとしていることをツイートしていたことが分かった。チェーン店では、大手コンビニのローソンなどと違って個人情報が見られるシステムになっており、GEO側は、「実害は聞いていないが、再発防止に努めたい」としている。
「本日は勤務の苦痛を革命的に減らす発見をしました」。騒ぎのきっかけは、ツイッター上で2015年4月11日にこんなつぶやきをしたことだった。
「好みの客を会員検索し、本名などを特定」
ツイート主は男性だったが、同性に興味を持っていることを告白した。そして、好みの同性に接近するため、客がポイントをためるPontaカードで個人情報を調べると明かしたのだ。
その手順としては、客から渡されたカードでレジを済ませ、その後、レシートに記載された会員番号を使って会員検索をする。その結果、本名、年齢、電話番号、住所が特定できるというものだった。好みの客については、フェイスブックで検索し、「あたかもSNSで出会ったかのように出会う」とその手法をひけらかしていた。
ツイッターでは、どのような人がAVを買いに来るか観察することが楽しみだと明かし、16日には、「AV借りていく人大抵臭いデブおっさんだからいつもより1.5倍早くレジ終わらせる気でいる」などと客を嘲笑するような発言もしていた。
一連のツイートは、次第に話題になって、18日ごろには、ツイッター上などで批判や疑問の声が相次ぐ炎上騒ぎになった。ツイート情報などから、レンタルビデオチェーン「GEO」の千葉県内の店舗に勤めていることが特定され、さらに、名前や住所などの個人情報も暴かれてしまった。
この騒ぎで、ネット上では、「ポンタってそんな簡単に情報見えるの?」「怖いな、おちおちビデオも借りられないのか」といった不安も漏れている。
「実害は聞いていないが、再発防止に努めたい」
Pontaカードの加盟社の店舗で、店員が会員検索すれば、個人情報がすぐに見られてしまうものなのか。
Pontaカードを運営しているロイヤリティマーケティングでは、取材に対し、GEOのサービスでは、客本人の同意に基づいてPontaカードをレンタルカードとして使用しており、レンタルを初めて利用する際に、GEO側がPontaのポイント会員データを取得していると答えた。つまり、店員は、それが反映されたGEOのレンタル会員データベースを通じて、客の個人情報にアクセスできるというわけだ。
しかし、Pontaのほかの加盟社の店舗では、店員がPonta会員の情報を見ることはできないと説明している。
Pontaカードの加盟社になっているローソンでも、「従業員はカードを使って個人情報は見られないようになっています」と広報担当者が言う。従業員がカードを悪用する問題なども、起きていないそうだ。
GEOを運営するゲオホールディングスでは、調査の結果、千葉県内の店舗のアルバイト店員が一連のツイートをしていたことが分かったと認めた。GEOの各店舗では、サービスの性質上、間違った人やなりすました人に貸し出すことがないように、店員が性別や年齢などの個人情報をその都度閲覧しているともいう。
アルバイト店員が個人情報を元にネット検索したかは確認中だというが、「お客さまに接触したという事実はなく、実害があったとは聞いていません」と説明した。本人は、SNSで注目を浴びたいと考えて軽率な行為をしてしまったと反省しているといい、ゲオホールディングスでも、「今回のことを重く受け止め、再発防止教育などを徹底していきます」と言っている。