ドローン、「妨害電波」で撃退できる? その技術的、法的問題を検証

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   小型無人機のドローンが首相官邸内で見つかった問題で、どうすればテロなどへの悪用を防げるかが焦点になっている。専門家からは、ある対策をする必要性の指摘が出ていた。

   4つのプロペラが付いたドローンは、報道によると、フレームが真っ黒に塗り替えられていた。ドローンを官邸まで飛ばした何者かは、暗闇にまぎれるように仕立てたらしい。

  • 妨害電波を使えばいい?
    妨害電波を使えばいい?
  • 妨害電波を使えばいい?

政府は飛行規制を打ち出したが、実効性に疑問

   ドローンは、ラジコンショップなどで誰でも入手でき、免許もいらずに操縦できる。性能のいい機種は、高度200メートルぐらいは飛ぶという。航空法では、空港の近くでなければ、250メートルまで飛行制限はないといい、テロ対策の死角になっていた。

   コントローラーで操縦することができるが、位置情報のGPSを使えば、入力地点まで自動で飛ばすことも可能だ。この機能を使えば、夜中に5キロ離れた地点からも目標まで到達できてしまう。官邸で見つかったドローンは、コントローラータイプで、300メートル離れた場所からしか飛ばせないとも報じられたが、いずれにせよ、防衛能力に重大な欠陥があったのは確かだ。

   菅義偉官房長官は2015年4月22日の会見で、テロの発生が懸念されるとして、法整備などで規制を強化したい意向を示した。航空法の改正案が秋の臨時国会に提出され、行政機関や原発などの上空でドローンの飛行を原則禁止にする方向だとも報じられている。

   とはいえ、ネット上では、「問題は禁止にすることではなく、どう防ぐかだろうに」「禁止しても物理的に防げないんじゃ意味ないわな」などとその実効性を疑問視する声が早くも出ている。

   テレ朝系で23日に放送された「グッド!モーニング」では、元内閣安全保障室長の佐々淳行氏が、官邸などのレーダー探知装置は、元々ミサイル対策のためにあるとし、直径50センチほどのドローンは映らない恐れを指摘した。

妨害電波を使うためには、法改正などが必要

   今回、ドローンの発見が大幅に遅れたのは、レーダーに映らなかったためもあるらしいというのだ。そのうえで、佐々淳行氏は、次のように提言した。

「ドローンの電波を妨害する『妨害電波』というのを考えればいいんじゃないですか。それを現実の装備化して、現場をやっている警察だとか自衛隊に渡しておくことね」

   ロイター通信の2月9日付コラム「『ドローンの脅威』を理解すべき理由」によると、防衛問題に詳しい米国人ブログ編集者は、米大統領シークレットサービスでは、車両に隠し込んだ無線通信妨害装置をすでに使っていると明かした。同一周波数を使った2つの機器は信号が干渉し合い、混信状態となる原理を使ったもので、これを使ってドローンを無力化できるというのだ。

   日本では、行政機関などが妨害電波を使うことはできるのか。

   総務省の移動通信課では、一般論だとしたうえで、ドローンなどにはいくつかの周波数が使われており、前出のような混信の原理を使えば、妨害電波を発生させられるとした。GPSを使っている場合は、こうしてもドローンは飛べるが、GPSと同じ周波数の妨害電波を使えば、位置情報が分からなくすることはできるという。

   しかし、日本では、他の無線を妨害してはならないことが「無線局の開設の根本的基準法」第6条の第6項で決められており、行政機関なども例外ではない。妨害電波を使うためには、法改正などが必要になってくるようだ。

   もっとも、妨害電波を発すれば、他の電子機器と電波干渉する恐れも指摘されている。GPSなら、携帯電話などの位置情報が使えなくなる問題も依然として残る。いずれにせよ、何らかの対策が求められそうだ。

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