2030年の電力構成 再生エネルギーと原発の「差」わずかに
一方、武田鉄矢さんの発言が、テレビ局が放送している番組内容への苦言ではないか、との見方もある。
インターネットでは、
「彼が言いたいのは、どうでもいい、とるに足らないような番組を消せということでしょう」
との声もある。
とはいえ、「テレビ局が放送時間の短縮に取り組むべき」との議論は、東日本大震災後の東京電力・福島第一原発の事故で、夏の電力不足が懸念された2011~12年にかけて巻き起こったことがある。
当時の目的は「節電のため」なのだが、武田さんの発言はいわば、そのときの議論を蒸し返すようなもの。そう感じている人は少なからずいるようだ。
たとえば、テレビ局が放送にかける電力や、テレビが家庭の消費電力のかなりの割合を占めているとされたことから、「深夜放送の中止」や「昼の時間帯の番組を輪番で放送する」などの声があった。
電車の運行を間引いたり駅のエスカレーターを止めたりすると生活に影響するが、ある時間帯のテレビ放送がなくなったからといって困る人はいないのではないか、というのが趣旨。インターネットにはこのときも多くの声が賛否両論、寄せられたが、テレビ局は冷ややかで、とくに検討もしなかった経緯がある。
政府は2030年時点の望ましい電力構成(ベストミックス)の議論を進めているところ。経済産業省では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを最大23%、原発を最大22%とする方向で調整しているとの情報もある。
福島第一原発の事故を踏まえ、再生エネルギーの比率が原発を上回る水準にすることを目指しているが、発電コストが高い再生エネルギーの比率を高めると企業や家庭の電気代の負担が重くなることから、発電コストが低い原子力との差をわずかにした、とされる。原発の電力構成は、東日本大震災前は30%近くだった。