「昭和歌謡ブーム」支え、盛り上げた男 加瀬邦彦、がん手術後も舞台復帰目指していた

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   「昭和歌謡ブーム」などと騒がれる昨今、ブームに一役買ったのが加瀬邦彦さん(74)がオーナーを務めていたライブハウスレストラン「ケネディハウス銀座」と言われている。

   加瀬さんは2015年4月20日に死亡が確認されたが、グループサウンズ「加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズ」は4月23日にこのケネディハウスでのライブを予定していて、加瀬さんもずっと舞台に立つことを希望していたのだという。

  • ワイルドワンズのコンサートが延期された(画像はケネディハウス銀座のホームページ)
    ワイルドワンズのコンサートが延期された(画像はケネディハウス銀座のホームページ)
  • ワイルドワンズのコンサートが延期された(画像はケネディハウス銀座のホームページ)

加山雄三は月1でライブを開催している

「加瀬邦彦は、本人の体調不良のため、出演を見合わせることになりました。出演を楽しみにされていた皆様には心よりお詫び申し上げます」

   4月23日予定のケネディハウス出演ゲスト紹介欄には、こう注釈が付いていた。加瀬さんは14年2月に下咽頭癌を発症し、手術を行った後もステージに復帰することを目指していて、グループ名に自分の名前を入れ続けた。ワイルドワンズの公演は月に1回ペースで行われていて、それ以来ずっと先の注釈が付けられることになった。

   「昭和歌謡ブーム」と言われだしたのは2012年頃からで、今では西城秀樹さん、今陽子さん、あべ静江さん、 伊藤咲子さんなどが出演する「同窓会コンサート」が全国で開催され、熱狂の渦になっている。さらに、昭和歌謡が堪能できるバーが各地にオープンして大盛況になっていたり、CS放送「クロスカヴァー・ソングショー」など昭和歌謡をテーマにした歌番組が増えたりしているなど、ブームは拡大している。

   フォークシンガーの杉田二郎さん、高山厳さん、因幡晃さんなどが結成したニューグループ「ブラザーズ5」も登場した。昭和歌謡専門のCD・レコード店まである。加瀬さんのケネディハウスは1983年にオープン、60~70年代のグループサウンズ、ポップスを中心に生演奏を披露してきた。実は、「昭和歌謡ブーム」の火付け役としても知られているのだ。2015年4月、5月の出演者はジャッキー吉川とブルーコメッツ、「ビリーバンバン」の菅原進さん、「フォー・セインツ」の上原徹さんらだ。1995年以降は加山雄三さんが参加し、現在は月1でライブを開いている。

ワイルドワンズの23日公演は中止、5月1日に振り替え

   ケネディハウスを運営するエイティスリーによると、生演奏を聴かせる通常営業とゲストライブの2本立てで営業をしていて、客層は40代以上のミドル層が中心だが、30代もいる。ゲストによっては客の半数以上が女性という日もある。誰でも知っている曲になると、

「みなさんで一緒に歌ったりもしていて、その一体感は半端ないこともある」

といった盛り上がりを見せるのだという。加瀬さんに関しては、14年2月の手術以降は自宅療養をして復帰を常に目指していたが、お店に顔を出すことはなかったという。また、加瀬さんの死亡の影響もあり23日のワイルドワンズの公演は中止。翌月の5月1日に振り替える、と説明した。

   このケネディハウスが支えてきた「昭和歌謡ブーム」だが、どうしてこれほどまでなったのか。2013年11月23日に昭和歌謡専門のCD・レコード店「昭和歌謡館」を東京新宿にオープンしたディスクユニオンの担当者はこう解説する。

   今の音楽に魅力がないため以前に大ヒットした曲や歌手を思い出し、そこに流れて行った、という説もあるが、それは違うのだそうだ。

「生活にゆとりが出来たり、仕事が一段落した方々がCDを買ったりコンサートに行ったりしています。そのムーブが大きく、テレビや雑誌で取り上げられ浸透し、歌謡曲を知らなかった若い世代も巻き込んでいっているのでしょう」
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