「早い者勝ち」のルール
商標には早く出願した人に権利が与えられる「早い者勝ち」のルールがある。だれでも出願でき、商標を先取りして販売するケースもあり、権利を守るにはできるだけ早く出願するのが鉄則だ。大幸薬品も「音商標によるブランドイメージの保護のため」に改正商標法施行日の4月1日に出願した。この素早い出願は権利を奪われないためには当然であり、こうした意識の高い企業による5タイプの出願は4月1日だけで481件に上り、このうち音は151件、色彩が192件だった。
一方、海外には日本に先んじて音や色彩などを商標として認めている国が多くあり、日本企業が海外で出願する動きも活発化している。
例えば、久光製薬はCMで使っている「ヒ・サ・ミ・ツ」というメロディを米国などで登録済み。これは音や色彩には言葉の壁を超えた宣伝効果が見込め、「ブランディングツールとして用いられるケースが増えた」(大幸薬品)からだ。
これから国内外での音商標などの取得が進めば、世界的なブランド戦略の展開も容易になるとみられる。しかし、一方で、他社の商標権を侵害していないかどうかのチェックも一層厳格に行わねばならなくなり、商標を巡る企業間のトラブルが増える可能性も指摘されている。