創業者で父の大塚勝久前会長(71)と娘の久美子社長(47)が経営権をめぐって争った大塚家具。その「お家騒動」のおわびセール、「新生・大塚家具 大感謝フェア」が全国16か店で始まった。
初日となった2015年4月18日、旗艦店の東京・新宿ショールームに開店前から130人が列をつくったほどの盛況ぶりで、過去最高の約1万人超が来店した。
来店客が「握手して」「いっしょに写真撮って」
大塚家具の「大感謝フェア」は、一連の「お家騒動」で剥がれた信頼とブランドイメージの回復、客離れを食い止めるのが狙い。一部を除き、家具や照明、寝装品の販売価格を10~50%安くした。
同社の2015年3月の売上高は消費増税前の駆け込み需要の反動があるとはいえ、前年同月比37.8%減と大きく落ち込み、11か月連続の前年割れとなった。
業績回復を占ううえでも大事な「おわびセール」だが、東京・新宿のショールームには10時30分のオープンにあわせて約130人が並ぶ大盛況。真っ白なジャケットに身を包んだ久美子社長が、自ら選んだという「希望」と「前進」を花言葉にもつガーベラを先着100人、一人ひとりに手渡しながら、「これからも、よろしくお願いします」と出迎えた。
久美子社長はフェア初日の4月18日午後には、仙台市青葉区の仙台ショールームを訪れ、新宿店と同様に入り口付近で来店客を出迎えた。大塚家具によると「東北のお客様から心配する声が数多く寄せられたため、社長が2番目の訪問先に選びました」と話す。
その後、大阪に移動。翌19日には大阪南港ショールームと名古屋・栄ショールームを訪れ、店頭で来店客にガーベラを手渡した。大阪でも、開店前には東京・新宿店を上回る約500人が列をつくる盛況ぶりで、「(初日と)連日約500人ものお客様に並んでいただき、予想以上の来店者数でお待たせさせるなどご迷惑をおかけしました」と、うれしい悲鳴をあげている。
そうした中で、フェアの大盛況を後押ししたのは、久美子社長の「ファン」の存在だったかもしれない。どのショールームに行っても大人気で、久美子社長からガーベラを手渡された人の中には「応援しています」「がんばって」と声をかける人や握手する人、いっしょに写真撮影を求める人が相次いだ。
そんな来店者の要望に、久美子社長は気さくに丁寧に応じていたという。
4月18日、久美子社長はツイッターで、
「本日、新生・大塚家具 大感謝フェアの初日にはたくさんのお客様にご来店いただきました。ご対応しきれずにお待たせすることになったお客様には、大変申し訳ありませんでした。明日も社員全員、精一杯頑張ってまいります」
と語っていた。
同社は「社長はフェアの開催期間中(4月30日まで)に、(今回訪問できなかった)福岡ショールームを訪ねる予定でスケジュールを調整しています」と話している。
「全店で3倍超に達しています」
大塚家具によると、「大感謝フェア」がはじまって最初の週末(土・日)の来店者数は、2014年の同じ週と比べて、「全店で3倍超に達しています」という。
売れ行きも好調で、「目玉商品」の数量限定で用意した93万5000円(全9か店で10セット)の超高級寝具セットと、9万3500円(全店で30セット)のお手頃価格の寝具セットは全店で初日に完売。大塚家具では「9万3500円のセットで数量を限定していない商品も用意しています」と話している。
好調の背景の一つには、価格設定が久美子社長の名前を意識した「935(クミコ)」の語呂合わせもあるようで、「覚えてもらいやすい価格」だったとみている。
久美子社長の人気が、苦戦している業績の向上につながるか、注目されるところだ。