宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、日本初の月面着陸を目指す無人の小型機を2018年度に打ち上げる計画を進めているという。月面の環境や資源を利用できるか調査する構え。政府の宇宙政策委員会が正式決定すれば、文部科学省が関連費用を16年度予算の概算要求に盛り込む見通しだ。日本経済新聞などが伝えている。
計画案では、月面探査機「SLIM(スリム)」を小型ロケット「イプシロン」で打ち上げる。無人機の月面着陸は旧ソ連、アメリカ、中国が達成しているが、目標地点に対し数キロの誤差があった。スリムは誤差を100メートルまで縮め、ピンポイントで目標地点に軟着陸する技術を実証する。
07年に打ち上げた月周回衛星「かぐや」が月面に縦穴を見つけており、スリムはこの中への着陸も目指す。縦穴は月内部を探る手がかりでもあり、将来の有人探査の際には基地になる可能性もあるという。
05年には小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワに着陸したが、重力は小さかった。月のような比較的重力の大きい天体への着陸は初めてとなる。将来の火星探査も見据え、技術の蓄積につなげる。