「国際標準」は禁煙の徹底
都道府県で同種の条例を制定済みなのは神奈川県と兵庫県だけ。全国に先駆けて2010年に制定した神奈川は、学校、病院、官公庁は禁煙、飲食店や宿泊施設は大規模施設に限り分煙か禁煙を課し、兵庫県もほぼ同じ内容。神奈川は違反施設に5万円、個人には2万円を科す。ただ、神奈川の場合でも、飲食店では規制対象(厨房を除き100平方メートル超)に満たない店が全体の約4分の3を占めるなど、実効性を疑問視する声は絶えない。
また、条例化を検討した山形県は業界団体から「客足が遠のく」との声が上がり条例化を見送り、京都府は影響に配慮して条例化を避け、2012年に「憲章」を策定し、店先に禁煙・分煙ステッカーを張るなど自主的な取り組みにとどめている。さらに、大阪府は飲食店や宿泊施設は対象から外し公共施設などを全面禁煙とする条例案を府議会に提案したが、分煙を認めない点に反発が出て断念した。ある県の担当者は「一足飛びに全面禁煙は難しく、できるところから進めるしかない」と話すが、その程度をめぐって、議論は尽きないのが現状だ。
東京都の舛添知事は昨年末、自民党や業界などの反対を受け、「条例を完全に捨てているわけではないが、その前に他の施策をもう少しやりながらと思っている」と語り、飲食店の分煙化工事への補助などの施策を優先させる考えを示している。
検討会の安念座長は「1、2年経てば、国の立法意欲も含め、かなり情勢が変わる」と、条例化の機運が盛り上がる可能性を指摘するが、東京五輪まで5年という限られた時間でどこまで進むか。五輪開催地の禁煙徹底が近年の国際標準になっていることから、国の対応を含め、日本の遅が世界から注目されることも考えられる。