東京・渋谷の街を、パート・アルバイトなどが加入する労働組合などが時給の引き上げを訴えてデモ行進した。「時給1500円」は世界的な潮流なのだという。
最近はファミリーレストランやファストフード店なども、人手不足で時給は上昇傾向にある。牛丼チェーン店などは深夜帯とはいえ「1500円」のところもあって、実現はそう遠くないのだろうか。
労働組合などが実現求めて渋谷をデモ
ファストフード店などで働く労働者の賃金アップを求める世界的な取り組み「ファストフード世界同時アクション」が2015年4月15日、東京・渋谷など24都道府県30都市で繰り広げられ、首都圏青年ユニオンなどに加入するパート・アルバイトの若者らが「時給1500円」の実現を訴えた。
東京・渋谷センター街では、参加者が「時給1500円、これが常識だ!」「働きすぎはもう終わり!」と声をあげた。
たしかに、ファストフード店などで働いている人の時給は1000円前後で、週5日8時間みっちり働いても200万円にも満たない。これでは生活に困るだろう。
とはいえ、1年ほど前から、外食アルバイトの人手不足は急速に深刻化。その様子は多くのメディアも取り上げた。
その一つが、牛丼チェーン店だ。「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは東京・新宿界隈などの都心店舗の時給を、深夜帯で1400~1500円の高い水準に置いた。同社の場合、深夜帯に働くアルバイトの「ワンオペ問題」で、東京都心などの一部店舗で一時休業や営業時間の短縮を強いられたこともあって、アルバイトを確保するため、店舗によっては時給を引き上げる必要があったとみられる。
2015年4月18日現在でも、すき家の新宿1丁目店や新宿NSビル店では、時給1120~1400円(深夜帯は1400円)を提示。時給の水準をみると、人手不足はなお続いているようだ。
一方、リクルートジョブズの「パート・アルバイト募集時平均時給調査」によると、首都圏、東海、関西の3大都市圏の2月の平均時給(募集時)は、前年同月から10円(増減率1.1%)増えて958円となり、20か月連続で前年実績を上回った。職種別では「専門職系」の前年同月比27円増(2.5%増)をはじめ、すべての職種でプラス。また、前月との比較では「販売・サービス系」(1円減の938円)や「営業系」(4円減の1109円)とマイナスとなるなか、「フード系」は4円増えて935円となった。
平均時給で1000円に届かないものの、近い将来に1000円を越えていく可能性はある。
1500円なら「日本が滅ぶ」との指摘も
そうした中で、インターネットには「マクドナルド」の時給が1500円になると「日本が滅ぶ」との指摘が飛び出し、話題になっている。
ファイナンシャルプランナーで、シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋よしふみ氏が寄せたコラムで、「もしファストフード店の時給が1500円以上になれば、マックもロッテリアもすべてのお店がつぶれる」と、書いている。
それによると、ファストフードに限らず、最低賃金の大幅な引き上げは低い時給で働いている人にはプラスだが、結果的には雇用の減少や販売価格の上昇による需要減を招き、国内産業の衰退につながり、「負のスパイラルに陥る」などと説明している。
これに対し、インターネットでは、
「数千年の歴史がある国も数百円の賃金で滅ぶんだな。あっけないものだ」
「国が滅ぶとか、500円すごすぎワロタ」
との反応があった。
その一方で、ちょっと飛躍しすぎでは、との見方も多く、
「トップ含め、上から給料減らせば数十億くらい簡単だろ」
「んなもん給与の安い正社員に置き換えておしまい」
「その程度で滅ぶようなら、いっそ消滅したほうが世のため。ただ、実際はそんなに脆弱じゃねーよ」
といった声も出ている。