サントリー食品インターナショナルが2015年4月14日に発売したフレーバーウオーター「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」の出荷を一時停止した。
同社は3月31日に発売した果汁入り炭酸飲料の「レモンジーナ」の販売を、その翌日に一時休止すると発表したばかり。新商品の立て続けの出荷停止に、メーカーとしての供給責任を問う声も出始めている。
月120万ケースの出荷予定に、190万ケースの注文
発売したばかりのフレーバーウオーター「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」の出荷停止は、スーパーや小売店などからの注文が殺到して生産が追いつかないことが理由のようだ。
サントリー食品インターナショナルは2015年4月1日に、「レモンジーナ」の販売の一時休止を発表。新商品の清涼飲料が発売直後に相次いで出荷停止になったことから、同社の食品事業本部長の小郷三朗副社長が17日、記者会見した。
小郷副社長は「需要予測を見誤った」と説明。「メーカーの供給責任を果たせず、深くおわび申し上げます」と謝罪した。
「ヨーグリーナ」は、牛乳由来でミネラルやアミノ酸を含む「乳清」を発酵させて天然水に混ぜたヨーグルト味のフレーバーウオーター。「透明でありながら、ヨーグルトのコクとすっきりした甘み」が特長だ。
4月末までの販売目標が120万ケース。これに対して、発売前に70万ケースの注文があり、17日時点では月間190万ケースの水準の注文がきているという。
需要を読み誤った背景に、小郷副社長は「インターネットで情報が広がり、新商品の知名度が発売前に一気に高まることを予測の中に織り込むことができていなかった」と説明した。
とはいえ、ミネラルウオーターに風味をつけたフレーバーウオーター市場の拡大は、2014年の「天然水」ブランドが前年比11%増の8300万ケースと好調だったことから、同社ではすでに織り込み済みだったとみられる。
サントリーは、「たしかに『南アルプスの天然水&朝摘みオレンジ』などが好調で、その1.5倍の予測値をみていたのですが、市場規模の予測がそれを上回っていました」という。そのため、出荷を一時停止して生産体制を整えることを最優先した。
サントリーは「品薄商法」を否定
わずか半月のうちに、新商品が立て続けに出荷停止となったことで、インターネットには、品不足を演出して消費者の購買意欲を煽る「飢餓商法」を疑う声もある。
「『品薄商法』って流行りなの???」
「『生産が追いつかない商法』世間の話題づくり」
「『そんなに美味しいの?』と興味が湧くことは確かだ!」
「流石にもう騙されないんじゃない(笑)」
「毎回いい宣伝になるね。わざとかな?」
といった声が寄せられている。
そういった声の一方で、
「ホンマかいな? 『レモンジーナ』は普通に売っていたぞ。いまも普通に売っている」
「出荷しすぎで、たんなる店頭在庫の過多だろ」
と、大型スーパーなどの棚には在庫がたくさん残っているとの指摘は少なくない。
サントリーは、「大型スーパーなどとは発売前の商談で売り場の広さなどの売り方を決めて、それに応じて注文が入り、納品します。まだ在庫があるスーパーもありますが、売り切れ次第、入荷しない状態です。今回(レモンジーナとヨーグリーナ)はスーパーなどの追加注文に応じる生産能力がなくなってしまったことから、出荷停止しました」と説明。ネットで指摘されているような「品薄商法」でも、宣伝効果を狙ったものでもないという。
ちなみに、「ヨーグリーナ」は出荷再開のめどが立っていないが、「レモンジーナ」は現在、増産体制を敷いていて、欧州からの原材料の調達が順調に進むことを前提に「4月下旬には再開したい」と話している。