三重県のメーカーが販売している、ある女性向けエナジードリンクが、どういう訳か男性ばかりが買い求める予期せぬ事態が起きている。
「商品名に目を疑って4度見くらいした!」「想像すると色々ヤバいwww」。ネットで話題を集める、このエナジードリンクの商品名は「お嬢様聖水」だ。
1人で10本買っていく人も
お嬢様聖水(190ミリリットル入り税込210円)は2015年4月1日から東京メトロの売店「METRO'S(メトロス)」100店舗限定で販売されている。パッケージには「私の中の女神が目覚める お嬢様聖水」と印字され、裸の女性が描かれている。涙を流しながらも、はにかんだような不思議な表情が目を引く。
公式サイトの説明には「現代人のカラダに不足した栄養素を補います」「ダイエット中にうれしい食物繊維」など美容や健康を意識した宣伝文句が並ぶ。「女性のための新感覚エナジードリンク」とも書かれ、女性をターゲットにした商品であることは間違いなさそうだ。
しかし実際に商品を手に取っているのは、男性の姿が目立つ。新宿区内のメトロ売店の店員は、
「買っていくのは30~50代のサラリーマンがほとんど。特に会社帰りの夜の時間帯が多い。なかには1人で8~10本買っていく人もいた」
と話し、売れ行きも好調だという。ツイッターには、
「渋谷のMETRO'S、お嬢様聖水売り切れとる」
「飲みたいけどどこにも売ってない」
という書き込みがあり、一部では品薄状態が続いている。
どうして男性ばかりが購入しているのか。「さすがに会社には持っていくのはつらいな」「買った時の女性店員の眼差しが忘れられない」という声から察しがつくように、多くの購入者は商品名の「聖水」から「完全に別のもの」を感じ取っているようだ。
メーカーは「非常に当惑」していた
記者はお嬢様聖水を購入し、飲んでみた。グラスに注ぐと、黄色い泡立った液体が目の前に現れる。一瞬とまどいつつも、グイッと飲むとフルーティーな香りとやさしい炭酸が口の中に広がる。試飲した編集部内からは「飲みやすい聖水」という感想があった。
とはいえ、このネーミングと見た目から、何らかの連想を働かせる人が出るのは無理もないかもしれない。メーカーはこうなることを初めから想定していたのだろうか。販売するリバランド(三重県鈴鹿市)の開発担当者は、
「ネットで騒がれているような意味での認識は開発期間も含め、社長にも私にも一切なかった。発売直後になぜか意図せぬことで話題になっていると聞いて、非常に当惑したというのが事実です」
と語り、男性客からの大きな反響に驚いている。
お嬢様聖水は同社がこれまで販売してきた「お嬢様酵素」「お嬢様グリーンスムージー」などの「お嬢様シリーズ」の最新作という位置づけだ。ネーミングは突然頭の中に降臨するように思いついたそうで、「『お嬢様のための美の聖なる水』であり、『プリンセスフォーリーウォーター』の意味で『お嬢様聖水』と名付けた」。都会に住む人の体や心を清めてほしいという願いも込められている。
もちろん男性ばかりではなく、出勤前に購入する女性客も多い。店頭では入荷分が置かれるとすぐに売り切れる状況が続いているという。今後は関西など全国での販売を目指している。