「原発ロボット」故障の深層 「放射線のせい」報道を追う

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   東京電力福島第1原発1号機の原子炉内に溶けた燃料(デブリ)回収に向け、格納容器の中をロボットで調べるという世界で初めての取り組みが進んでいる。2015年4月10日に実際の調査が行われたが、移動を始めてから3時間で動けなくなった。

   これは「何かに引っかかった」ことが原因だとみられているが、英BBCは「高い放射線量」がトラブルの原因になっている可能性を報じた。ただ、この説には特段の根拠が示されているわけでもなく、フェイスブックのコメント欄には異論も出ている。

  • ロボットは移動開始から3時間後には動けなくなった(提供:国際廃炉研究開発機構)
    ロボットは移動開始から3時間後には動けなくなった(提供:国際廃炉研究開発機構)
  • ロボットのカメラがとらえた格納容器内部の様子。右下に「毎時9.4シーベルト」の表示が確認できる(提供:国際廃炉研究開発機構)
    ロボットのカメラがとらえた格納容器内部の様子。右下に「毎時9.4シーベルト」の表示が確認できる(提供:国際廃炉研究開発機構)
  • ロボットは移動開始から3時間後には動けなくなった(提供:国際廃炉研究開発機構)
  • ロボットのカメラがとらえた格納容器内部の様子。右下に「毎時9.4シーベルト」の表示が確認できる(提供:国際廃炉研究開発機構)

移動開始から3時間で動けなくなる

   ロボットは全長60センチで、ヘビのような形状。カメラで格納容器の損傷の状況を撮影し、放射線量を測定するのが主なミッションだ。4月10日に内部を反時計回りに調べ、後に時計回りでも調べることになっていた。

   ロボットは10時45分頃「グレーチング」と呼ばれる格納容器1階の作業用足場に投入され、11時20分頃に動き始めたが、約3時間後の14時9分に動けなくなっていた。この3時間で、予定ルートのおよそ3分の2にあたる十数メートルを進み、当初想定していた18か所の調査ポイントのうち14か所で調査を行うことができた。

   東電の説明によると、事前に計画したルート上に障害物が見つかったため、ルートを変更して調査を続けようとしたところ、ロボットが動けなくなった。回収は困難だと判断され、13日には動けなくなった時の手順に従ってケーブルを切断する作業が行われた。

   6か所で放射線量と温度が測定され、それぞれ毎時7.4~9.7シーベルト、17.8~20.2度だった。人間があびると1時間程度で死亡するほどの高線量だ。カメラも正常に動作しており、4月13日には動画も公開された。

FBでは「おそらく放射線でこの小さなロボットは壊れた」と解説

   この実験が世界初めての試みだということもあって、この経緯は海外メディアも相次いで報じた。大半は「動けなくなった」と伝える程度だったが、英BBCは独自の見方だ。東京発の特派員レポートでは、

「ミッション開始からわずか3時間後に(ロボットは)動かなくなった。理由はっきりしないが、高い放射線量が、おそらくその答えだ」

と伝えており、その動画はBBCのフェイスブックに

「おそらく放射線でこの小さなロボットは壊れた」

という説明文つきで掲載された。

   もっとも、東電では、ロボットが動けなくなったのは「グレーチング」の継ぎ目の段差や配管のすきまにロボットがはまり込んだのが原因だとみている。そもそも、ロボットは毎時100シーベルトで約10時間動けるように設計されている。実際に格納容器内で測定されたのは毎時10シーベルトなので、ロボットは想定よりも長く動けるはずだ。

   こういった事情もあって、東電は4月15日、

「ロボットが当初の想定(約10時間)よりも長い期間(2~3日)、原子炉格納容器内の線量に耐えられるという、貴重な知見も得られている」

として、別のロボットを使って同日午前に時計回りの調査も始めたと発表した。

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