「2強」が3位以下を引き離す
一方、国内の製紙業界は、王子ホールディングス(HD)と日本製紙2強が、3位以下を大きく引き離している。2強は国内の需要減に対応するさまざまな対策を進めており、特に王子HDは海外事業を拡大。2011年にはマレーシアの段ボール加工大手を買収し、2014年4月には官民ファンドの産業革新機構と共同でニュージーランドの製紙・製材大手からパルプ・板紙事業を買収すると発表し、競争力の強化を図り、3位以下を大きく引き離しつつあるのが実態だ。
こうした中、2強以外の製紙各社は焦燥感を強めており、北越紀州は2012年8月、大王製紙の創業家らから同社株式を買い取って筆頭株主となり、大王との経営統合を狙っていたとされる。しかし、大王の現経営陣の反発は強く、北越紀州の思惑通りには進んでいない。
三菱製紙も苦境は同じで、北越紀州、三菱製紙の両社はまず、販売子会社の統合を足がかりに、本体同士の統合を模索する計画だったとされる。しかし販売子会社の統合協議さえ頓挫し、関係者によると「三菱製紙は別の企業との提携も考え始めているのではないか」との観測も浮上、成果がないまま協議は止まった。関係修復も難しいとの見方が強い。
しかし、内需の縮小が避けられない中、両社とも単独で生き残るのは難しい環境だ。明確な生き残り策を描けなければ、2強との格差はさらに広がり、両社に立ちはだかる壁はさらに厚さを増すことになる。