2015年4月12日に投開票された第18回統一地方選挙の前半戦では、都道府県選で自民党が総定数の過半数に達して圧勝し、橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会は大阪府議選と大阪市議選で最大勢力を維持。かろうじて「踏みとどまった」形だ。
対照的なのが野党第1党の民主党で、改選前議席を大幅に減らすことになった。特に大阪は壊滅状態に近い。それでも枝野幸男幹事長は「党の再生に向けた一歩を踏み出せたのではないか」などと話すが、その理屈はいかにも苦しい。
北海道、大分で負けても「本部としてコミットした所」は全勝
枝野氏が4月12日夜、統一地方選前半戦の結果が「再生に向けた一歩」になった根拠のひとつとして報道陣に対して語ったのが、「首長選挙については、本部としてコミットした所については全部勝たせていただいた」ことだ。
確かに札幌市長選では民主などが推薦した元副市長の秋元克広氏(59)が勝利し、10道県で行われた知事選では6県で自民、民主が現職に相乗り。いずれも現職が「完勝」した。だが、逆に自民と民主が事実上の一騎打ちとなった北海道と大分では、いずれも与党が勝利。一見、民主党が「全部勝たせていただいた」のは誤りのように聞こえる。敗れた北海道と大分について、枝野氏は、
「推薦申請が上がってきていないので、(党)本部としては対応のしようがないし、コメントのしようがない」
と突き放した。北海道と大分で敗北した候補は地元組織が実質支援していたにすぎず、党として推薦していたわけではないため「黒星」としてカウントしないという理屈のようだが、いかにも苦しい。
枝野氏の主張を踏まえても民主の劣勢は明らかで、都府議選では改選前の346議席から82議席も少ない264議席の獲得にとどまった。
枝野幹事長、大阪の惨敗には「色々と考えていかなければ」
中でも壊滅的なのが大阪府だ。府議選(改選前7議席)では、9人が立候補したが、議席を守ったのは現職の中村哲之助氏(69)=枚方市選挙区=のみ。大阪市議選(同6議席)には11人が立候補したが全滅した。堺市議選(同4議席)には6人が立候補し、当選は2人にとどまった。
大阪府連代表の尾立源幸参院議員は4月13日に出したコメントの中で、敗因を「反維新の姿勢だけでなく、個々の実績や重点政策を訴えましたが、反維新勢力の中で党の独自色が出し切れず」、「今までに経験したことのない大変厳しい結果」などと「大阪都構想」に反対する中で民主党が他党に埋没したとの見方を示した。
枝野幹事長は4月13日午前、大阪の惨敗については、
「特定の地域については、それぞれの地域事情によって、色々と考えていかなければいかけない」
と述べるにとどめ、統一地方選前半戦の結果全体についても総じて楽観的だ。枝野氏は、党籍を持っている候補者の動向から情勢を分析すべきだと主張。選挙区事情などから党籍を持っていても公認を受けられずに無所属で出馬した人が多いことを踏まえた発言だ。
民主党籍持つ無所属候補入れると「若干の減、ほぼ現状を維持」??
枝野氏によると、党籍を持つ候補者は都道府県議選、政令指定市議選で計317人擁立され、305人が当選した。枝野氏はこのことを理由に、
「若干の減、ほぼ現状を維持したと思っている」
などと述べ、「惨敗」だという分析に反論。党勢は12年衆院総選挙~13年夏の参院選で底打ちし、現在は回復基調にあるとの見方を示した。
「みなさん、どこを起点に考えるか。私は(民主党が政権を追われた)2012年12月にマイナスから再出発したと思っている。マイナスから再出発をして、4年前の選挙を踏まえた現有(議席数)に、ほぼ近い数字が取れたというのは、この2年余りの間に相当、それぞれの地域が頑張ってくれたと受け止めるのが正確な情勢分析だと思う」