真の競争原理は働いているのか
通信自由化の結果、移動系通信の契約数のシェア(2014年12月末現在)は、NTTドコモが42.2%と半分を大きく割こみり、ソフトバンクグループが29.4%、KDDIグループが28.4%で追う展開となっている。しかし、データ通信でNTT東西は固定系ブロードバンド契約数で54.9%、FTTH(家庭向け光ファイバー)で70.6%のシェアを握っており、ライバルは「通信自由化の結果、料金が下がるなど一定の効果が認められたが、依然としてNTTが業界内で強い立場にあることから、真の競争原理が働いているか疑問の余地がある」(KDDI)と批判している。
30年の節目となる今年、期待されるのはSIMロック解除だ。ガラケーやスマホはSIMカードというICカードに電話番号など各社の携帯ネットワークに接続するための情報が入っている。現在、国内の大手通信会社のガラケーやスマホ、タブレット(多機能携帯端末)の大半は、他の通信会社のSIMカードを差しても使えないよう「SIMロック」が掛かっている。5月からはユーザーが希望すれば、このロックを解除し、どの通信会社のSIMカードを差しても使えるようになる。
SIMロックを解除した状態をSIMフリーと呼ぶが、こうなると例えばNTTドコモで購入した端末を買い換えなくても、ライバル社の契約に乗り換え、そのまま使うことが可能となる。2006年に携帯電話の番号を変えずに契約先の通信会社を乗り換えられる番号持ち運び(ナンバーポータビリティー)制度が始まって以来の「革命」だ。
SIMロック解除を目指してきた総務省に対して、大手通信業界は抵抗してきた経緯がある。
民間調査(ジーエフケーマーケティングサービスジャパン)によると、「通信費を抑えるためMVNOのSIMカードを利用したい」と答えた携帯電話のユーザーは10%、「比較検討したい」は48%だった。果たしてどんなサービスが登場し、ユーザーの乗り換えが進むのか、今から注目される。