「任那」は日本による植民地支配を連想させる
韓国側が反発する背景には、「任那」という言葉が日本による植民地支配を連想させることがある。例えば中央日報は、
「植民統治を正当化するための植民史観で、歴史的な根拠は弱く、現在、日本国内の学界でも受け入れられていない」
などと主張。前出の経緯からすると、「日本国内の学界でも受け入れられていない」という主張は必ずしも正しくはない。
東亜日報は、オピニオン面で、
「伽?(編注:金官伽?=任那)に倭が一定の勢力を形成していたことを否定することは難しい」
としながらも、その性格や存在した期間には異論があることを指摘し、
「『任那』とは、古代日本が韓半島の南部、特に現在の晋州を呼んだ名称だが、韓国では植民史観の象徴と記憶されていることを日本は知らなければならない」
などと訴えた。
こういった世論を背景に、李完九(イ・ワング)首相は4月9日、韓国メディアに対して、
「事実に基づかず、歴史を歪曲してはならない」
などと主張。外交部の魯光鎰(ノ・グァンイル)報道官も同日の会見で、11年の検定結果に引き続いて、「任那日本説」が盛り込まれたことに対して遺憾の意を示し、記述の修正を求める考えを示した。