新社長の経営手腕は未知数
金融庁も新生銀行の現状に厳しい目を注ぐ。金融庁は昨年秋から新生銀行に検査に入り、経営戦略やガバナンス(企業統治)面での課題を指摘。安定成長に向けた抜本的な経営改革が必要との認識を示したという。
折しも、大手行では、りそなホールディングス、あおぞら銀行が公的資金の前倒し完済に道筋をつけつつあり、完済のめどがついていないのは新生銀行だけ。同行の「周回遅れ」が鮮明になっている。追い込まれた新生銀行は、トップの大幅な若返りによって「背水の陣」を敷いた形だ。
当麻氏の後を継ぐ工藤氏は、銀行勤務の後、証券会社や企業再生ファンドなどで不動産流動化や事業再生ビジネスに携わり、行内外でその手腕を評価する声は多い。当麻氏から請われて新生銀行へ転じたのは5年足らず前で、年齢も大手行トップでは若い51歳と異例づくしだ。
工藤氏は記者会見で「メガバンクや地方銀行と違う、顧客に必要とされる銀行になる」と述べ、独自のビジネスモデルを追求して存在感を高める考えを強調。資産運用や事業再生ビジネスを強化するとともに、アジアでの提携戦略も進めていく方針を示した。
ただ、若いだけに経営手腕は未知数。新生銀行の公的資金返済のハードルは極めて高く、どう乗り越えるのか注目される。