日銀の黒田東彦総裁が「ここだけの話にしてほしい」
バーゼル銀行監督委員会はこの規制案とは別に、先進国の銀行が自国通貨建ての国債の信用リスクをゼロとみなしている現在のルールを見直すべきかどうかの議論も始めた。日本は先進国で最悪水準の債務を抱え、格付けも先進国の中では低いため、自国通貨建て国債の信用リスクを厳しく見る方向になれば、影響は大きい。2月12日の諮問会議では、日銀の黒田東彦総裁が「ここだけの話にしてほしい」とわざわざ断った上で「英独などが『自国の国債もリスク資産にすべきだ』と言っている。そうなれば経済に大変な影響がある」と警告する場面があった。日本の金融当局はこの議論にも断固反対する構えだ。
企業の資金需要が伸び悩む中、邦銀は「リスクゼロ」の資産として国債に巨額の投資をしてきた。国際的な金融規制の議論の流れが大きく変わろうとしている中、国が財政健全化を怠ってきたツケが、邦銀に巡ってきている形だ。