米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古沖(同県名護市)移設に反対している普天間周辺住民らが2015年4月3日、4~5日の日程で沖縄県を訪問する菅義偉官房長官について、「『粛々と進める』と言うだけの思考停止に陥っている」などと非難する声明を発表した。
この指摘について、菅氏は同日夕方の会見で、「粛々と進める」という表現を盛り込みながら、改めて作業続行を表明。一方で、4月5日に会談予定の沖縄県の翁長雄志知事との間にできた深い溝については「1回で埋まるような話ではない」と述べ、会談を重ねたい考えを示した。
「やはり粛々と進めていくというのが政府の責任」
菅氏は、1996年の普天間返還の日米合意から2013年12月の仲井真弘多(ひろかず)前知事による辺野古沖埋め立て承認までの長いみちのりを強調。
「(普天間の)閉鎖をする。その条件として県内移設、それから3年かかって当時の県知事、地元の市長の同意を得て閣議決定した。日本は法治国家ですから、手続きするのにも、それから時間がかかった。しかし結果として、一昨年埋め立て承認をいただいた」
その上で、住民が批判の対象にしていた「粛々と進めていく」という言葉を2度も使いながら、辺野古沖移設に向けた作業続行を改めて表明した。
「そこは粛々と進めていって、普天間飛行場の危険除去は政府の責任だと思っているし、我が国を取り巻く安全保障環境を考えたときに、尖閣問題、北朝鮮問題が現にある。日米同盟の抑止力とその維持、そうしたことも日本だけでなく全体の安全保障の中でそこが唯一の解決策だということで決定している。そこはやはり粛々と進めていくというのが政府の責任ではないか」