牛丼350円、「当社としてはギリギリのところです」
一方、ゼンショーホールディングスが2015年4月1日に発表した、すき家の3月の売上高(既存店ベース)は前年同月比9.2%減で、2か月連続のマイナスだった。客数も13.9%減と大きく減らした。これで牛丼の価格を現行の291円に引き上げた14年8月以降8か月連続のマイナスだ。客単価は5.4%増だった。
同社は客数について、「昨年好調だった牛鍋が今年はそれほどではありませんでしたから、その分があります。(14年8月の)値上げ以降、前年を超えることができませんが、客単価は前年を上回っています。これがデフレからインフレ基調へと変わる過渡期にみられる状況なのだと考えています」という。
客数が伸び悩むなか、値上げで客足がさらに遠のくことはないのだろうか――。350円という価格設定について、ゼンショーHDは「基本的に、当社としてはギリギリのところです。利益を追求する一方で、お客様には牛肉を20%増量したバリューを感じてもらうことで、『また行きたい』と思ってもらえるライン(価格水準)だと考えています」と話す。
200円台の攻防が繰り広げられてきた「安売り」牛丼の時代は、すき家の値上げで終わりを告げる。かつては「デフレの象徴」とされた牛丼だが、いまや「脱デフレ」の象徴になりつつあるようだ。