スマホ向けゲームは新陳代謝が激しい
一方、DeNAは従来型携帯電話向けの「モバゲー」で成長したが、より多機能なスマホ向けでは遅れをとった。スマホ向けでは、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」や、ミクシィ「モンスターストライク」の後塵を拝しており、2015年3月期の連結営業利益は前期比53.4%減の248億円にとどまる見通しだ。
スマホ向けゲームは新陳代謝が激しく、陳腐化するのも早い。だが消費者の変化に対応するためには、両社ともスマホに注力せざるを得ないと判断したようだ。
記者会見した任天堂の岩田聡社長によると、DeNAの守安功社長と初めて合ったのは2010年6月。「モバゲーに任天堂のIPを供給してもらえないか」と提案があったという。その後も継続的に話し合いを持ち、今回の提携に至った。
「同じゲームを専用機からスマホ向けに移すだけは、客は満足しない」(岩田社長)ことから、まったく同じゲームは出さない予定。ゲーム開発は任天堂が主導し、ウェブサービスやサーバー運営などはDeNAの知見を生かす。任天堂は専用機へのこだわりを捨てたわけではなく、来年には新たな専用機を発表する計画だ。
発表翌日の3月18日、東京株式市場では、両社株ともにストップ高水準まで買われた。投資家の期待感は大きいが、任天堂にとっては、専用機とスマホで、自社の顧客を奪い合うのではという懸念もある。本当に相乗効果を生み出せるかは未知数だ。