ドイツ航空機事故の賠償金、日本人は一億円? 会社側責任はきわめて重大で多額になる可能性 

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   スペインのバルセロナからドイツのデュッセルドルフへ向かうドイツの格安航空会社(LCC)、ジャーマンウイングスの旅客機(エアバスA320型機)が、フランス南東部の山岳地帯に墜落した事故は、日本人2人を含む乗客乗員150人全員が死亡した。

   航空機事故は最近の1年をみても、239人が消息不明になったマレーシア航空370便墜落事故(2014年3月8日)や乗客乗員298人全員が死亡したマレーシア航空17便撃墜事件(同7月17日)、14年 12月28日の乗員乗客162人全員が死亡したインドネシア・エアアジア8501便墜落事故など、9件の死亡事故が起こっている。

  • 航空機事故、日本人の賠償金は1億円?(写真はイメージ)
    航空機事故、日本人の賠償金は1億円?(写真はイメージ)
  • 航空機事故、日本人の賠償金は1億円?(写真はイメージ)

ジャーマンウイングス事故の日本人も適用される

   楽しいはずの海外旅行や、海外でバリバリ働く企業戦士の人生が一瞬のうちに暗転してしまう航空機事故が後を絶たない。

   2015年3月24日に起った、ドイツのルフトハンザドイツ航空傘下のLCC、ジャーマンウイングスの墜落事故。原因究明にあたっている仏検察当局は、「副操縦士が意図的に機体を破壊しようとしたとみられる」と発表。副操縦士は、機長を操縦室から閉め出したうえで機体を急降下させて墜落させた可能性があるとされ、関係者のみならず衝撃が走った。

   2人の日本人もこの旅客機に搭乗していた。

   航空機の事故そのものは減少以降にあるものの、万が一はあり得る。今回、犠牲になった2人の日本人とその家族も、「まさか」と思っていたに違いない。

   「人の命は何ものにも代えられない」とはいうが、不幸にして航空機事故に遭ってしまった場合、どれぐらいの補償が受けられるのだろうか。

   航空機事故で死亡・傷害を負った場合、どれだけ賠償されるかは「モントリオール条約」(2003年発効)に定められている。

   モントリオール条約は現在、109か国が批准。出発地と到着地の両国がいずれも条約に加盟していれば、旅客や航空会社の国籍と関係なく適用される。条約が適用されれば、賠償金額に上限はない。また、一人あたり11万3100SDR(約1800万円、2014年4月時点のレート換算)までは「無過失責任」となっており、航空会社は過失があってもなくても賠償責任を免れない。

   国土交通省によると、2人の日本人が亡くなったジャーマンウイングスの場合、「スペインからドイツ(いずれもモントリオール条約の批准国)へ向かう途中でしたので、規定どおり適用されるはずです」と話している。

   とはいえ、約1800万円の賠償金ではあまりに少ない。賠償金額に上限はなかったはずではないのか――。国内外の航空法などに詳しい金子博人弁護士は、「(1800万円は)いわば一時金のようなものです」と話す。

航空会社は規定以外の賠償金を支払わざるを得ない

   モントリオール条約では、11万3100SDR(約1800万円)を超える賠償については、「航空会社が事故について自らの過失がなかったと証明できれば、賠償責任を負わない」というルールになっている。

   ジャーマンウイングスの場合、「意図的に機体を破壊しようとした」とされる副操縦士を雇用し、乗務させていた航空会社側の責任はきわめて重大。過失が認定されることは避けられそうにないとの見方が支配的で、航空会社は規定以外の賠償金を支払わざるを得ないとみられる。

   国内ではおよそ1億円は下らないともいわれる賠償金額だが、前出の金子博人弁護士は「実際の損害賠償額は事故の被害者と航空会社が話し合いで決めますが、航空会社が提示した賠償額に不満があれば、訴訟になることもあります」という。

   モントリオール条約では、航空会社の住所地や主たる営業所の所在地、到着地、旅客の主要かつ恒常的居住地のいずれかのうちで、かつ条約国の領域にある裁判所に訴訟を提起することが定められている。つまり、今回の事故では日本国内でもドイツでも裁判を起こせるわけだ。

   金子弁護士は、「被害者がどこの国で訴訟を起こすかは、どの国の法律が適用されるかによるので、賠償金額も変わってきます。今回では、直感的ですが国内よりもドイツのほうが賠償額は高くなると思いますよ」と話す。

   ただし、外国での訴訟となれば、「手間や費用はかさむことになります」とも付け加える。

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