航空会社は規定以外の賠償金を支払わざるを得ない
モントリオール条約では、11万3100SDR(約1800万円)を超える賠償については、「航空会社が事故について自らの過失がなかったと証明できれば、賠償責任を負わない」というルールになっている。
ジャーマンウイングスの場合、「意図的に機体を破壊しようとした」とされる副操縦士を雇用し、乗務させていた航空会社側の責任はきわめて重大。過失が認定されることは避けられそうにないとの見方が支配的で、航空会社は規定以外の賠償金を支払わざるを得ないとみられる。
国内ではおよそ1億円は下らないともいわれる賠償金額だが、前出の金子博人弁護士は「実際の損害賠償額は事故の被害者と航空会社が話し合いで決めますが、航空会社が提示した賠償額に不満があれば、訴訟になることもあります」という。
モントリオール条約では、航空会社の住所地や主たる営業所の所在地、到着地、旅客の主要かつ恒常的居住地のいずれかのうちで、かつ条約国の領域にある裁判所に訴訟を提起することが定められている。つまり、今回の事故では日本国内でもドイツでも裁判を起こせるわけだ。
金子弁護士は、「被害者がどこの国で訴訟を起こすかは、どの国の法律が適用されるかによるので、賠償金額も変わってきます。今回では、直感的ですが国内よりもドイツのほうが賠償額は高くなると思いますよ」と話す。
ただし、外国での訴訟となれば、「手間や費用はかさむことになります」とも付け加える。