動画で韓国が出てくるのはほんの一部
動画で紹介された日本の援助対象は、韓国、ミャンマー、インドネシア、カンボジア、中国、タイ、ベトナム、インド、ラオスと多岐にわたる。韓国について言及されているのはほんの一部に過ぎないが、どういうわけか韓国メディアだけが動画に反発している。中央日報は「妄言が波紋」という見出しで、動画が、
「植民地支配や慰安婦強制動員、過去の歴史歪曲などの反省に一言も言及しなかった」
として、
「この動画は、経済開発支援国家という点を強調し、戦犯国という日本の国際的イメージを隠そうとする意図で製作されたとみられる」
などと決めつけた。
聯合ニュースも、
「過去の日本の帝国主義の侵略と韓日協定などによる請求権資金(編注:1965年の日韓請求権・経済協力協定で定められた無償3億、有償2億ドルの経済協力)が(浦項製鉄所を操業している)ポスコなに投入されたという事実は明らかにしておらず、アジア諸国の繁栄が日本の自発的支援の結果であるという誤解を生む作りになっている、という議論は避けられなさそうだ」
などと主張している。
動画に登場した製鉄所やソウル地下鉄の建設に日本政府の円借款が活用されていることはまぎれもない事実だ。ただ、この「経済協力」には日本から韓国に対する戦後補償という意味合いも帯びているため、韓国国内で「円借款は純粋な支援ではない」→「日本が支援の成果としてPRするのはおかしい」といった独自の主張が生まれる原因になっている。
だが、こういった認識は事実と異なっている。特に浦項製鉄所については、ポスコの朴泰俊(パク・テジュン)名誉会長=2011年死去=が08年に中央日報のインタビューで、米国からの資金調達に失敗したことを明かし、
「(無償経済協力)3億ドルのうち、当時使って残った金額は7370万ドルだった。 さらに日本輸出入銀行から5000万ドルを借り、本格的な工事を始めることができた」
と述べている。「経済協力」だけでは製鉄所の建設はできなかったことになる。