【大震災 若者の挑戦(最終回)】
「東北のために」と活動する全国の若者が連携 学生パワーが大きなうねりを起こす

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

ワークショップで避難所での経験を共有

   田畑さんに誘われて2014年11月、AIMに加わったのが仙台市内の大学に通う藤岡由伊さんだ。福島県南相馬市出身で、高校時代に参加した環境プロジェクトで南三陸町を訪れた際、田畑さんの語り部に触れた。その後、お互いに「地元愛」を語るうちに意気投合したという。フェイスブックでつながり、交流を続けてきた。

   震災と東京電力福島第1原発の事故で、藤岡さんは家族と一緒に福島市の避難所などで約1か月、故郷を離れての暮らしを余儀なくされた。そこで今回のAIMの「交流会」ではワークショップの企画として、自身の経験を踏まえて避難所の重要性について考えてもらうテーマを設定した。

「冒頭、詳しい説明の前に『避難生活で何が大事だと思いますか』と質問してみたのです」

   避難所経験のない参加者もいたが、水や食料の確保、衛生状態の維持といろいろな意見が出た。それぞれ重要なのは間違いないが、藤岡さんは自身の体験から「これは大切だ」と感じたことがあったという。

   ひとつは、常に防災意識を高めておく姿勢だ。日本全国どこでも地震は起きる。「もしもの事態で自分は何ができるか、備えておく必要があると思うのです」。もうひとつ、実際に避難所で実感したのがコミュニケーションの重要性だ。まだ寒い時期、インフルエンザが流行した。だが「お隣さん」が誰でどこから来たかも分からない。お互いに会話を交わす仲なら、健康状態の話もしただろう。ちょっとしたやり取りで防げる「災難」もあるわけだ。

   AIM自体、生まれてからの年月は長くない。だが、全国に散らばる仲間との絆は強まってきた。田畑さんは、来年までに5万人に「語り部」をしたいと目標を立てる一方、さらに多くの仲間と連携できれば、次に会合を開くときには何か「提言」ができるのではないかと青写真を描く。藤岡さんは「同世代の思いをもっと聞きに行きたい」と意気込む。

   「若者パワー」による東北復興は、確実に進んでいる。(おわり)

1 2
姉妹サイト