料理好きの人たちから「プロの味に化ける」などとしてカリスマ的人気を誇る中華調味料「味覇(ウェイパァー)」。それがいま、どうなるのか関心を集めている。
「味覇」の製造委託を受けていたメーカーとの契約が2015年3月末で解消され、「味覇」は別のメーカーで製造されることになる。しかし、これまで製造委託を受けていたメーカーはレシピを一切明かしていない。「味覇」はいったいどうなってしまうのか。
「無断で類似品を発売された。全くの寝耳に水だ!」
今回の問題は35年間も仲良く付き合ってきた2社間に起こったあるトラブルがきっかけになっている。「味覇」を開発・販売しているのは食材卸・販売の廣記商行(兵庫県神戸市)で、中身となる調味料を委託製造してきたのが業務用・家庭用調味料メーカー大手の創味食品だ。「味覇」は創味食品が製造販売している業務用調味料「創味シャンタンDX」が元になっている。
「シャンタンDX」が発売されたのは1961年、「味覇」は1981年だった。いわば二人三脚で「味覇」を家庭に浸透させてきたわけだが、廣記商行がチューブ入りの「味覇」を14年3月に発売したことが両者に亀裂をもたらした。両者の言い分は異なっている。創味食品側は、
「味覇の類似品を当社に無断で他社メーカーに作らせて発売した。全くの寝耳に水だ」
と激怒している。ところが、廣記商行に言わせると、創味食品とは2年前からチューブ入り製品の開発をしていたが、コストや工場のライン問題などで話がうまくまとまらなかった。「味覇」のレシピを公開するよう求めたが、それに応じなかった。チューブ入りは是非とも必要な商品であり、創味食品が乗ってこないのなら他のメーカーに製造委託するしかなかった、と説明した。廣記商行の山下兼一社長はJ-CASTニュースの取材に対し、
「味覇はあくまで当社のオリジナル商品であり、製造を委託したという関係なんです。無断でやるのは納得ができないと言われても、作ってもらえない以上は他のメーカーにお願いするのは当然のことです」
と譲らない。
ただし、創味食品に言わせれば、チューブ入りは2013年7月に廣記商行に提案したが、全く興味を示さなかった、というのだ。廣記商行とは諸々折衝を重ねたが信頼関係を回復することはできず、14年7月に契約は解消となり、14年8月25日に取引終了に向けての覚書に調印し、2015年3月30日「味覇」の最終出荷が終了したと明かした。
味、品質共に従来と同じもの「ご安心ください」
そうなると「味覇」の味はどうなってしまうのだろうか。創味食品は、
「製造レシピは『シャンタンDX』と同一のもの。廣記商行側には一切開示はしておりません。ゆえに全く同じ味を再現するのは難しいと考えております」
と説明する。廣記商行の山下社長は、チューブ入りの「味覇」は他のメーカーに依頼したものだが売れ行きが良く人気を集めている、と自信たっぷりだ。
「この6か月間、全勢力を上げてテストにテストを重ねて味覇を作ってきた。これから出る味覇は味、品質共に従来と同じものです。当社のオリジナル商品であり何十年も関わってきた商品ですので、ご安心ください」