新聞紙面に掲載される週刊誌の広告は、様々な理由で一部が「黒塗り」になることはしばしばだ。新聞社批判が理由の時もあるが、その多くは性的文言が問題になっている。
これまでは性器などに関する名詞が黒塗りにされることがあったが、今後、出版社と新聞社は「~する」といった動詞をめぐる攻防を繰り広げることになりそうだ。
脇見出しには「そんなことをするのは人間だけ」
月曜日に発売される週刊ポスト(小学館)と週刊現代(講談社)は中高年向けの性に関する特集を組むことが多く、それだけ新聞広告も「黒塗り」になることが多い。
2015年3月30日の朝日新聞朝刊に5段にわたって掲載された週刊現代の広告の左端におどったのが、
「人はなぜアソコを●●たがるのか」
という見出しだ。「~をしたがる」といった何らかの動作を表す部分が黒塗りにされており、見出しとして意味が通じなくなってしまっている。ただ、その脇には、
「新シリーズ セックスと人間の深淵に迫る 第1回」
「そんなことをするのは人間だけ」
という見出しもあるので、性行為に関連する事柄を扱っていることは想像できる。
毎日新聞、読売新聞、東京新聞の3紙では、週刊現代の広告は朝日の半分のサイズ(5段2分の1)で掲載された。見出しの表記は「人は性器をなぜ×××がるのか」。名詞が「性器」と具体的になったものの、やはり動作に関する部分が伏せ字になっている。
朝日とそれ以外の3紙の大きな違いは、伏せ字が「●」か「×」かだ。新聞社側が「×」で事後的に伏せ字に加工することは考えにくく、3紙については、週刊現代側が最初から伏せ字にして広告原稿を出したと考えるのが自然だ。これに対して朝日の伏せ字は「●」。過去に新聞社側が広告主の意に反する形で「黒塗り」する際には「●」で伏せ字になっていたという経緯もあり、朝日側の判断で黒塗りにされた可能性が高い。朝日新聞は過去の広告審査で「性器」という単語の使用を認めなかったこともあり、週刊現代側は「アソコ」と婉曲的に表現しようと試みた可能性がある。それでも黒塗りは免れなかった、ということのようだ。