全国で開花宣言が進み、各地の桜の名所はお花見客でにぎわっている。
近年は外国人の花見客が増加、もはや日本観光の目玉の1つになっているようだ。その一方、マナーの悪い外国人が増えたという書き込みや報道はあるが、実態はどうなっているのだろうか。
昼間の上野公園では早くも酒盛り
2015年3月30日、東京都台東区の上野公園は平日昼間にもかかわらず多くの花見客でにぎわっていた。早くも酒盛りの佳境を迎えたのか、すっかり赤ら顔の出来上がっている利用客の姿も目立つ。
花見客の中には外国人グループもいる。アメリカやスペインなど出身地がバラバラの留学生8人組は、ビールやおつまみを持ち寄り、全員初めてだという花見を楽しんでいた。
台湾から訪れていた家族連れは「日本での花見は2回目。花見のために上野を訪れた」と話す。ブルーシートを敷いて食事や酒を楽しむ様子はすっかり日本風が板についている。
一方、マナーをわきまえていなかったり、騒いで周囲とトラブルを起こしたりする外国人もいるようだ。公園内を警備していた警察関係者によると、「昼間のトラブルは少ないが、夜になるとお酒が回ってくるのか大声を出して騒ぐ人はいる」そうだ。
ツイッターを見ると、
「花見してもいいけどゴミは持ち帰れよ」
「桜に触るな。徹夜飲みしようとするな」
「花と一緒に写真を撮りたい気持ちは分かるけど、しだれている枝を自分のとこまで引っ張っちゃダメだよ」
などとマナーを守るよう訴える書き込みも散見された。朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)では敷地内トイレのトイレットペーパーを持ち帰ったり、枝を引っ張って写真撮影したりした外国人が紹介されていた。
「大声を出したり、暴れたりするのは日本人が圧倒的に多い」
もちろん、すべての外国人利用者がマナーを守らない訳ではない。この日、上野公園にいた利用者らは、いずれも控えめに食事やアルコールを楽しみ、大きな声を出して騒ぐなどの行為はしていなかった。むしろ英語で書かれた分別表記にしたがって、きちんとゴミを処分する姿が印象的だった。
指定場所以外なのにたばこを吸ったり、犬を放し飼いにしたりする迷惑行為をしていたのは、日本人が多い。周囲に大勢の人がいるにもかかわらず、しゃぼん玉で遊ぶ学生らしき姿もあった。
長年上野公園を担当しているという警備員は「今のところ大きなトラブルはないが、大声を出したり、暴れたりするのは日本人が圧倒的に多い」という。近所に住んでいる人も「この数年は外国人が増えたけど、迷惑だと思うことはなかった」と話す。
上野公園を管理する東京都東部公園緑地事務所は、昨年からマナー啓発のポスターに英語表記を加え、今年は中国語版の案内シールを周辺の公共施設で配布している。こうした取り組みが奏功したのか、「管轄する公園で、外国人のトラブルが特段増えているなどの状況は把握していない」という。