中国・上海で行われたフィギュアスケート世界選手権大会(2015年3月23日~29日)で、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦選手(20)は惜しくも2位となり、大会2連覇を逃した。
だが、客席から投げ込まれたプレゼントの量では堂々の「1位」だった。演技後には羽生選手の大のお気に入りとして知られる「くまのプーさん」のぬいぐるみがリンクに大量に降り注ぎ、視聴者を驚かせた。
中国メディアも写真付きで紹介
27日のショートプログラムでは、冒頭の4回転トーループを失敗してしまったものの、終盤の3回転ルッツに成功するなどして95.20点をマーク、首位に立った。
演技終了とともに、客席からは大きな歓声が上がった。同時に四方八方からプレゼントが投げ込まれ始めたが、花束の他に目につくものといえば、プーさん、プーさん、プーさん...。リンクは程なくしてプーさんのぬいぐるみでいっぱいになった。羽生選手はそのうちの一つを手にとって、その場を後にした。
翌28日のフリーでは、2つの4回転ジャンプに失敗するなどして得点が伸びず、結果は175.88点。ショートプログラム2位のハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)に逆転を許してしまった。
しかし、プレゼントの量ではハビエル選手を引き離した。前日同様、リンクを彩ったのはいくつものプーさんで、投げ込まれる様子はさながら「プーさんシャワー」と呼べそうなほど。フラワーガールたちも回収作業に追われていた。
今回のようにプレゼントの投げ入れが許可されている大会では、羽生選手へのこうしたプレゼントも珍しくない。しかし今回の量は、ファンが見ても際立っていたようだ。演技後、ツイッターには、
「恐るべしゆづパワー」
「ゆづのプレゼントの量やばい!」
「何よりもプーさん率が高いからリンクが黄色くなるのが面白い」
といった声が溢れた。
ファン以外の目にも異様に映ったようで、「プーさんシャワー」や「プーさんの山」の写真を掲載した中国メディアもあった。インターネット上でも視聴者から大きな反響を呼んだ。
「社会の役に立つような寄付をしたい」
そうした中で話題になっていたのが、プーさんたちの「その後」だ。
中国から全て持ち帰るには相当な量であることは確かだ。仮にすべて持ち帰ったとしても、羽生選手の自宅に保管するには限界があるだろう。今までの蓄積を考えればとっくにキャパシティーオーバーかもしれない。
ただしネット上では、羽生選手の人柄から考えると「捨てる」という選択肢はないだろうという意見がもっぱらだ。その上で
「どう処理されるのだろう...倉庫とかにもってくのかな...」
「被災地に送ったりするのかな」
といった意見が出ていた。
このことについて、羽生選手は「サンスポ・コム」の29日配信記事の中で次のように答えている。
「気持ちをいただいてありがたいけど、自分だけでは持ち帰れない。せっかくいただいたものなので何か社会の役に立つような寄付をしたい」
具体的な寄付先は明かしていなかったものの、やはり捨てることはせずに「寄付」という方法をとるようだ。おそらくこれまでもそうしてきたのだろう。
なおフリー演技後には、羽生選手がオーサー・コーチのもとに向かう際、首あたりにぬいぐるみが当たる場面があった。これにはファンから、
「リンクから出る途中のゆづにプレゼント投げて当てた奴、絶対許せない」
「受け取って貰いたいからあのタイミングで投げ入れたんだろうがプレゼント選手に当てるなんて言語道断」
といった厳しい声も出ていた。偶然当たってしまった可能性もあるだろうが、プレゼントに思いを託すのならば選手に迷惑をかけないよう細心の注意を払うことが大切かもしれない。