出版社の竹書房(東京都千代田区)が漫画雑誌の読者向け懸賞企画の当選者数を水増ししていたとして、消費者庁は景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。実際の当選者がゼロだったり、架空の当選者を掲載したりするケースもあった。
読者プレゼントの当選者水増しで措置命令を受けたのは、2013年8月の秋田書店(東京都新宿区)に次いで2例目となる。秋田書店の水増し発覚後、消費者庁の調査で竹書房の水増しも分かった。
1368人に当たるとしながら、本当に当選したのは327人
消費者庁によると、対象は2012年8月~2013年8月に発売された「まんがライフ」「まんがくらぶ」「まんがライフオリジナル」「まんがくらぶオリジナル」「本当にあったゆかいな話」「本当にあったゆかいな話 芸能ズキュン!」「まんがライフMOMO」の7誌の計77冊。携帯型ゲーム機やデジタルカメラ、商品券などを読者プレゼントとして掲載し、当選者数を1~5人としていたが、実際には当選者が少なかったり、当選者がゼロだったりした。1368人に当たるとしながら、本当に当選したのは327人だった。
例えば、「まんがライフ」2013年2月号ではオリジナル図書カードの当選者を100人としながら、実際の当選者は15人と大幅に下回っていた。さらに「本当にあったゆかいな話」2013年8月号に至っては、プレゼントとしてグッチポーチ(当選者1人)、3Dデジカメ(同2人)、図書カード5000円分(5人)、ビール券5000円分(5人)、パン焼き器(3人)、ルイ・ヴィトン財布(1人)、VTR一体型DVDプレーヤー(2人)、Xbox360(1人)などと表示していたのに当選者は1人もいなかった。そもそも商品を用意していなかったとみられ、同様の不正は「まんがくらぶオリジナル」2013年1月号、「本当にあったゆかいな話 芸能ズキュン!」2013年5月号でも行われていた。
アンケート回収率を高めようと虚偽の表示
これらの読者プレゼントに応募するにはアンケートに答える必要があり、アンケート回収率を高めようと虚偽の表示をしていた。ただ、出版不況に直面する出版社では予算の削減が進んでおり、竹書房では商品を用意するための予算確保が難しかったという。「措置命令を真摯に受けとめ、二度と起きないよう管理体制を強化し、再発防止に取り組み、読者の信頼に応えていく」などと謝罪した。
当選者水増し報道を受け、ネット上では「許せない」「ひどい」「ばれたら会社の損害になると分からないのか」と怒りのコメントが並ぶ。しかし、一方で「秋田書店の件もあって読者プレゼントなんて信用しなくなった」「昔からどこでもやっていること」と冷めた声もある。竹書房は秋田書店の水増し発覚直後の2013年9月以降、誌面に掲載された当選者数と同数のプレゼントを提供しているそうだが、読者の信頼を取り戻すのは容易ではなさそうだ。