利益の9割近くを金融2社が稼ぎ出している
ただ、郵政事業の話はそう単純に割り切れない複雑な面もある。ここで経営の最新動向を確認しておこう。
日本郵政グループが2月10日に発表した2014年4~12月期連結決算によると、純利益は前年同期比2.6%増の4046億円。同じ期間の日本企業と比べると、円安で絶好調のトヨタ自動車の1兆7268億円には遠く及ばないものの、日立製作所の1749億円は大きく上回る。堂々たる優良企業と言っておかしくない。
とはいえ、金融2社、すなわち、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の稼ぎに頼っているのが相も変わらぬ実態だ。2014年4~12月期のゆうちょ銀行の純利益は2800億円、かんぽ生命は737億円。単純計算で9割近くを金融2社が稼ぎ出していることになる。何しろ、郵便事業などを担う日本郵便の2015年3月期は純損益が260億円の赤字見通しだ。
金融2社のうちでも、ゆうちょ銀行の存在感は大きい。日本郵政グループの2015年3月期の連結純利益見通しは14年5月時点より900億円上積みした3500億円だが、この「900億円上積み」はこの間のゆうちょ銀行の上方修正額と同じだ。
この、頼みの金融2社の手足は縛られた状態でもある。ゆうちょ銀行に預けられる金額は1人1000万円までで、これを超えてはならない。超えた場合は本人に連絡が来てお金を移すよう指示され、放っておけば「国債を買わされる」など、強制的に限度額が守られる。一方のかんぽ生命も保険加入限度額は1300万円だ。