今、「食事をとらない」若い女性が増えているという。20代女性に至っては、エネルギー摂取量が「終戦半年後の都市部」よりも少ないという衝撃的なデータもある。
「スリム=美しい」という風潮から偏った食事制限をする女性が多いためとも考えられるが、実際に話を聞いてみると、どうやらそれだけが理由ではないようだ。
「トマトだけ、サラダだけの日なんかもあります」
厚生労働省が発表した最新の「国民健康・栄養調査」(2013年)を見てみると、20代~40代女性の平均エネルギー摂取量は50~60代女性のそれよりも少なく、今や70歳以上と同水準になっている。
成人のうち最も少ないのは20代で、1628kcalにとどまっている。厚労省が1947年にまとめた栄養調査の資料を参照すると、1946年2月時点の「都市部」の平均カロリー摂取量は「1696kcal」。つまり現代の20代女性は、深刻な食糧不足に陥っていた戦後の都市部の人々より摂取量が少ないということになる。
摂取量の減少傾向は日本人全体に見られるものだが、若い女性ではこれが顕著だ。一因としては近年の「スレンダー志向」によるカロリー制限がある。マクロミルが2012年に行ったアンケート調査によると、「現在ダイエットをしている」と答えた60.3%のうち、取り組んでいることのトップは「食事制限・カロリーコントロール」だった。最近でこそ「ぽっちゃりブーム」などと言われているが、「スリムになりたい!」という女性の願望は今も根強いらしい。
だが、ダイエット目的ではない別の事情もあるようだ。茨城県在住の会社員女性(27)は自身の食生活についてこう話す。
「朝は少しでも眠りたいので基本的に食べませんね。昼は食べるようにしていますが、夜も仕事が忙しい日はほとんど食べません。夜ならトマトだけ、サラダだけの日なんかもあります。...正直、かなり不健康だと思います」
ダイエットをしているわけではないが、仕事の忙しさにかまけて食事を後回しにしがちなのだという。なお、前日の献立は「朝なし/昼ネギトロ丼/夜ペペロンチーノ」。合計で約1200kcal程度だそうだ。もしかしたら、ダイエット中の女性よりも摂取量が低いかもしれない。
ちなみに「国民健康・栄養調査」(2013年)によれば、女性のうち朝食の欠食率が最も高いのも20代(25.4%)だ。約4人に1人が「朝抜き」生活を送っていることになり、この女性は決して珍しい例ではない。