日本は15年夏をメドに、初の適応計画策定
中でも進んでいるとされるのが英国で、気候変動法に基づき、2013年に「国家適応プログラム」を策定し、約100のリスクを抽出して「洪水や海岸侵食の脅威を減らす」「厳しい気象現象に関連した死亡や病気のリスクを減らす」といった31の目標を立てて具体的な施策を打ち出しているという。
日本は15年夏をメドに、初の適応計画策定に向け、政府が「影響評価報告書」をベースに検討を進めている。例えば国土交通省は2月下旬、水災害分野の適応策の方向性をまとめている。それによると、国が管理する1級河川では「100~200年に1度」の規模の洪水を想定するが、例えば利根川では「30~40年に1度」の洪水しか耐えられないため、今後30年間で「70~80年に1度」の規模の洪水まで対応できるようにする、といった考えを示している。自治体レベルの独自の計画づくりも進んでいて、災害に対する警戒情報の提供体制整備や、高温に適したイネの品種導入などに取り組むケースもある。
インフラの老朽化なども考えると、防災力を維持するための投資が必要なのはもちろんだが、東日本大震災の復興で巨大堤防の是非を巡る議論が絶えないように、ハコモノ頼みの限界が言われながら、「温暖化対策を大義名分にインフラ整備をプッシュしようという族議員などの動き」(財務省筋)も指摘される。省庁間の財源の奪い合いになりかねないだけに、縦割りを排し、体系的に取り組むことが求められる。