気温上昇を見込んで現実的な対応を 被害に備える「温暖化適応計画」に注目

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   地球の温暖化を防ぐため、いかに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を抑えるか、国際的な交渉が注目される一方、ある程度の気温上昇を見込んで被害への備えも必要だとされる。

   温暖化を阻止できればいいが、南太平洋のサイクロン被害のように、現実に影響が出る以上、被害を防ぐ、あるいは最小限に抑えるという現実的な対応が求められているからだ。これを「適応」といい、日本は今年夏をめどに、初の「適応計画」の検討を進めているが、世界的には計画を策定済みの国も多く、出遅れている。

  • 温暖化による健康被害、経済被害は深刻(画像はイメージ)
    温暖化による健康被害、経済被害は深刻(画像はイメージ)
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気温上昇を「2度未満」に抑えるのは困難

   2015年末に第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)がパリで開かれ、すべての国が参加する2020年以降の新たな枠組みの合意を目指しており、途上国を含む各国はそれぞれの削減目標を提出することが求められている。2014年末のCOP20では、この目標に「適応計画」も含めることが決まり、関心が高まっている。

   なぜ適応計画が必要なのか。その背景には産業革命以前からの気温上昇を「2度未満」に抑えるという国際的な目標の難しさがあり、欧州連合(EU)や米国、中国が新枠組みに向けて打ち出している温室効果ガスの削減目標を達成しても、2度未満の上昇に抑えるのは難しいと、多くの研究機関は分析する。国連環境計(UNEP)がCOP20に提出した報告書では、温暖化による洪水や干ばつ、海面上昇といった被害を抑えるための適応の費用が、2050年には途上国全体で年間2500億~5000億ドル(約30兆~60兆円)に達する可能性があるなどとしている。

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