国内航空会社では身体検査でメンタル面も把握
では、日本での状況はどうか。乗員のメンタルヘルスが事故につながったケースとして有名なのが、1982年のJAL350便の事故だ。羽田空港に着陸しようとしていたDC-8型機で、機長が突然エンジンを逆噴射する操作を行ったため、機体は前のめりになって墜落。乗客・乗員24名が死亡した。機長は業務上過失致死罪で逮捕されたが、精神鑑定で妄想性精神分裂病(統合失調症)と診断され、起訴は見送られた。
日本航空(JAL)では、年に2回にわたって行われる航空身体検査や定期健康診断で、医師の問診を通じてメンタルヘルスについてもチェックしていると説明する。これに加えて、週に3回は資格を持つカウンセラーをオフィスに配置し、メンタル面の相談ができる体制を整えているとしている。
全日空(ANA)も同様で、航空法で定められた身体検査の際にメンタル面も把握できるようにしていると説明している。
今回のジャーマンウィングス機のように、パイロットが締め出された際の対応については、
「保安については開示できない」(JAL)
「(パイロットが)締め出されるといったケースは想定していないが、パイロットがトイレのためにコックピットを出た際は、しかるべきコミュニケーションを取って、中に入れる状態になっている」(ANA)
と回答した。