上海で開催されているフィギュアスケート世界選手権で羽生結弦選手(20)は日本選手初の連覇に挑む。
腹部の手術、右足首のねんざ明けの状態に注目が集まる一方、上海浦東空港で着用していた日の丸マスクがちょっとした話題になっている。
「マスクほしい」という声も
2015年3月23日、上海入りした羽生選手は、空港ロビーで待ち構えていた報道陣の問いかけに無言を貫き、足早に車に乗り込んだ。しかしニュース映像を見ていたファンは、マスク左ほほ部分に小さくあしらわれたな日の丸を目ざとく見つけ、
「マスクすごい。日の丸だ!」
「気合い入ってそう!」
「それにしても特殊そうなマスクだな...」
とネットですぐさま話題を集めた。選手団公式マスクだと思った人もいて、「マスクほしい」という声も上がった。
しかし日本スケート連盟によると、このマスクは公式のものではなく、「個人的に使用しているもの」と説明する。そもそも過激派組織「イスラム国」の事件を受け、海外遠征する選手には「日の丸」「JAPAN」などのデザインがあるウェアの着用は避けるよう通達している。そのため今回のマスク着用で、連盟は羽生選手に注意を行ったという。
マスクは1個1万1980円、約100回まで洗って使用できる
実はこのマスクは、メッシュ素材メーカー「くればぁ」(愛知県豊橋市)の製品だ。日の丸には着用するアスリートたちへの応援が込められているそうで、3月29日の一般販売に先駆けて、以前から問い合わせがあったアスリートらに先行販売していたものが羽生選手の手に渡っていたようだ。
同社専務取締役の中河原毅さんによると、羽生選手の着用に気が付いたのは、ほかの客からの問い合わせがあったからだという。複数のアスリートから注文があったことは把握していたものの、そのうちの1つが羽生選手のスタッフからだったとは知らなかった。「まさか使ってくれているとは思わなかった。従業員にファンも多く、みんなで喜んでいます」という。
マスクは1個1万1980円となかなかの値段だが、鼻の高さやアゴ下までの長さに合わせたオーダーメードで生産され、約100回まで洗って使用できる。テレビを見て、「何度も洗って使ってくれている質感でした」と喜んでいる。
すでに注文は殺到しているが、手作りのため1か月で約100個の生産が限界だそうだ。同社にとっては思わぬ話題となったわけだが、「羽生選手を広告塔にするつもりはありません」とし、羽生選手が連盟から注意を受けたことを気にしている様子だった。