「ネット右翼」を明確に定義しないまま議論されることが多い
「ネット右翼」に関する議論は「ネット右翼」を明確に定義しないままに展開されるこことも多い。「1%未満」は比較的狭く定義した結果として出てくる数字だともいえ、この数字を前提にした議論に違和感を覚える人も多いようだ。
小熊氏は第2のポイントとして、ネット右翼による書き込みは一種の「愉快犯」で、「意図を真剣に考えすぎるべきではない」としている。半面、第3のポイントとして「ああいう発言をしてもいい」という空気を醸成するとして、「この種の言説の広がりは深刻」だとも説く。
ただ、「愉快犯」的な書き込みは、「ネット右翼」に限ったことではなく、いわゆる「左翼」にも少なくない。
対応策のひとつとして小熊氏が挙げるのが「ネット管理者に対応を要請すること」。小熊氏は、直接反論することは「効率も悪いし、相手を喜ばせかねない」として、「通報や警告が行われれば、『こんな発言は許されないのだ』と知らしめる効果はある」と説くが、管理者に通報しても差別的な書き込みがスムーズに削除されるとも限らないというのが実際のところだ。こういった点でも、小熊氏の提言の実効性を疑問視する声も多い。